実践+発信

日本の将来に少しでも貢献するために

2011.3.31

CoSTEPとの出会いは、受講生の手作りラジオ番組でした。「聞いて!分かって!」感のないゆるいムードでもしっかり伝わってくるメッセージに、すっかりファンになりました。専門がコミュニティニュトリション(居住地域、学校、会社、家族等の「コミュニティ」内の人のつながりを利用して、健康や栄養状態を集団まるごとよくしていこうとする分野)の私にとって、「コミュニケーション」は聞きもらせないキーワード。CoSTEPのCoはコミュニケーションのCoと知った瞬間、受講を決めました。 さて、いわゆる科学からは少し外れている人間が、どうやって科学コミュニケーションをするのか……コミュニティニュトリションは科学だとアピールしなければいけないのか……。勢いで始めてはみたものの、にじみ出てきた根本的な問いに、講義を聴講し始めてからもすっきりと答えが出ません。このもやもやから抜けだす気づきがあったのは、3日間の集中演習でした。みんなで一つのことを一生懸命考え、手を動かし、相手を思いやりながら完成させていくプロセスそのものがコミュニケーションで、たまたまトピックが科学だった……そんな3日間でした。科学コミュニケーションって、専門知識やコミュニケーションスキルはもちろん大切だけれども、それでガチガチに構えるものでもないし、一人だけで考えて答えが出るものでもない、押し付けるものではなく、みんなが真剣になった結果自然にうまれてくるもの、そんな気づきです。その後の講義や課題への取り組み、考え方を大きく変えました。 今社会は、東日本大震災に関する多くの情報が飛び交い、パニック状態になっています。情報を正しく解釈することへのニーズがこんなに大きいことってあったでしょうか。科学コミュニケーターの役割は、信頼できる情報を発信し、みんなが自分で考えて判断するお手伝いをすることだと思います。この震災を悲しいもので終わらせるのでなく、そこから私たちみんなが学ぶべきこと、そのために科学コミュニケーターとして今何をするべきかを冷静に判断し、日本の将来に少しでも貢献したい、そう意気込んでいます。

村嶋 恵
日本科学未来館(科学コミュニケーター)