「科学技術についての『語り』を分析する」―6月23日に行われた山口富子先生(国際基督教大学准教授)の講義は、科学技術と社会のダイナミズムをいかに分析するか、手法としての「言説分析」に焦点を当てたものでした。
科学技術コミュニケーションの現場では、新聞記事やレポート、プレスリリースなどの書き言葉から、サイエンスカフェでの発言といった話し言葉まで、多様な「語り」が生み出されています。それらの語りの「文脈」をどのように分析の対象としていくのか、その方法論が示されました。
具体的な事例として取り上げられたのが、2008年北海道大学で行われた「ミニ・コンセンサス会議」です。山口先生は、専門家と市民の全体会議での「語り」、市民だけのグループディスカッションでの「語り」、専門家と市民の小規模なグループディスカッションでの「語り」を比較し、三つの場で「語り」の構造が異なっていることを指摘していきます。
「サイエンスカフェの質疑やアンケートを、「言説分析」ではどのように分析したらよいのでしょうか?」受講生からはこうした質問が投げかけられました。サイエンスカフェをはじめとしたイベントをどう評価し、次のイベントへ反映させていくか、その手がかりを与えていただけるような講義でした。