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「情報デザイン」920・21 原田泰先生の講義レポート

2013.10.2

 9月も後半に入った20日(金)と21日(土)の二日間。はこだて未来大学から原田泰先生をお招きし、「情報デザイン」の講義と演習が行われました。

まず初日は、講義「情報をデザインするということ」

情報デザインは大きくふたつの要素に分けられます。ひとつは伝えたいメッセージやデータに形を与え、情報を整えること。もうひとつはその情報を意図した相手に伝えることです。このふたつを通してコミュニケーションを豊かにすることが情報デザインの役割です。

伝わるための共通基盤

講義のキーワードは「共通基盤」。共通基盤とは、言い換えると「共通の理解」。ひとつの情報でも、受け取り方は人によって様々です。とはいえ、ある伝えたいメッセージを様々に受け取られてしまうと困ります。そこで、伝え手と受け手の共通の理解を考え、共有されているルールで表現することがポイントになります。

例えば伝え手と受け手のコミュニティを考えてみましょう。伝え手と受け手は北大生?それとも北海道民?日本人?あるいはサークル仲間? そのコミュニティでしか通じないルールなどをふまえて、受け手の理解を助けることが「情報デザイン」なのです。

ことばと絵の相乗効果

次に、ワークを通して情報を伝えるツールの「ことば」と「絵」について学びました。「ことば」は一義的ですが、「絵」は多義的、非言語で、直感的な理解が可能という特徴があります。そしてこのふたつを合わせたものが「グラフィックス」です。グラフィックスはことばと絵の相乗効果によるコミュニケーション表現と言えます。つまり、絵による直感的な全体把握と、ことば(文字)による内容の表現により、誤解を避けると同時に、読み解くことが楽しくなる仕掛けづくりができるのです。

 表現に正解はありません。大切なことは、目的、文脈に合う表現を選ぶことなのです。 また、これまで紹介してきたことは、伝え手だけにとってのポイントではありません。受け手が表現を読み解くときのポイントでもあります。私たちが日々接する情報の中には、伝え手の想いがあり、そしてその想いが表現として表れているのです。それを理解した上で、表現を読み解いていく必要があります。それが豊かなコミュニケーションにつながるのです。

原田先生の講義は、ほっとするような温かさのある講義でした。

つながりから新たな意味をつくり出す

 

そして続く土曜日、情報デザイン演習が行われました。お題は「北大キャンパス再発見」。午前中、受講生はカメラを携えて、北大キャンパスでおもしろいと感じたものを撮りに出かけました。おかしな貼り紙、積み上げられた本、ツタや木々、古い建物、バス停、農場の羊などなど。撮影を通して、自分がそこにどのような意味を見出しているのか、意識することができます。

そして午後はグループに分かれて、個人が撮った写真(=データ)をつなげて構造化することに取り組みました。

バラバラのデータにつながりを見出す作業は、想像以上に難しく、そして楽しい作業でした。被写体は同じでも、写真に収める視点が人によって違っていたり、写真にことばを加えることで、鑑賞の幅が広がることを体験したり。講義では頭で学んだことを、演習では手を動かし足を動かし、実習生自ら体験して学ぶことができました。そして、なんといっても、楽しい学びの日になりました。

 私の感想を最後に少し。

最近、何を教わるかに加えて、誰から教わるか、ということも大切だと思うようになりました(受け売りですが…)。2日間の濃密な時間で、原田先生から素敵な学びをいただいたこと、とてもうれしく思っています。

原田先生、本当にありがとうございました!

(古家衣梨 2013年度本科・北海道大学大学院環境科学院 修士1年)