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感じる科学

2018.8.6

著者:さくら剛

出版社:サンクチュアリ出版

刊行年月:2011年12月

定価:1,300円


本書は「科学」というあまり馴染みのない世界をバカバカしいたとえ話で「なんだ。簡単じゃないか」と思わせてくれる本です。

セブンイレブンで買ってきたツナマヨおにぎりがあるとします。そのおにぎり、床に置いてあるときと、テーブルの上においてある時では賞味期限が変わってきます。

なんの話かと思いきや、これは、一般相対性理論の“重力と時間”の項目で紹介されている話です。このような身近な生活で目にするような事例を通じて、科学の本来の魅力である「疑問への探究心」を思い出させてくれます。

私は教育界に身を置いていますが、多くの教育者は知識を伝達する手法に苦しんでいます。どういう表現をしたら伝わるのか。どんな説明をしたら生徒は興味を持ってくれるのか。本書を通じて見出した解決への糸口は「わかりやすくて楽しい事例をバリエーション多彩に用意しておくこと」。この本の著者はまさにそのプロフェッショナルです。

さて、冒頭でお話ししたおにぎりの話、なぜ賞味期限が変わるのか気になりませんか。本書の解説にはこう説明されています。

重力は時間の流れを遅くします。地球上で受ける重力は高度が高くなるほど小さくなっていくため、地球の中心に近い床に置いてあるおにぎりの方が時間の流れがわずかに遅くなるという原理です。

科学に限らず、ワクワクやドキドキは自発的に学ぶ意欲に大きな影響を与えます。「やりなさい」と言われたことよりも「やりたい」と思ったことが心に刻まれていきます。本書は、難しい用語に囲まれて科学の壁にぶつかっている人にこそ、プレゼントしたい一冊。楽しみながら専門知識を得られる入門書です。

田渕久倫(CoSTEP14期本科ライティング)