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「科学技術コミュニケーション事例研究」(10/10)三上直之先生の講義レポート

2018.10.16

小池 優(2018年度 本科/学生)

今回の講義では、北海道大学 高等教育推進機構 准教授の三上直之先生をお招きしました。三上先生はCoSTEPスタッフOBで、科学コミュニケーションを専門としています。そんなCoSTEPとの関わりが深い三上先生に「科学技術コミュニケーションの事例研究」についてお話していただきました。

事例研究とは?

事例研究とは、社会で科学技術をめぐるコミュニケーションが問題となっているケースを対象にして、データを収集し、事例を記述・分析することです。対象とする問題は、科学技術コミュニケーションに関する重要な論点につながるので、事例研究は科学技術コミュニケーションの学びを深める有力な方法になります。事例研究を自覚せずにやっている人もいるかもしれません。しかし、それを意識してやってみることで、科学技術コミュニケーションの学びをより実りあるものにできるでしょう。

事例研究で科学技術コミュニケーションを学ぶ方法

事例研究で科学技術コミュニケーションを学ぶ方法のひとつは、事例研究を読むことです。特に「科学技術コミュニケーション(JJSC)」は事例研究の宝庫なので、おすすめだそうです。ひとりで読むだけでなく、みんなで読み考えたことをシェアし合うことで自分の気づきを深めることができると三上先生は提案しました。

読むことよりもおすすめの事例研究方法が、書くことだそうです。まずは、自ら行っている実践活動を事例研究し、論文を書いてみると取り組みやすいとのことです。三上先生は、実際に書くことで得られる多くのメリットについて説明しました。書くことによって活動の意義や課題を再認識し、課題をどのように乗り越えたらいいのかを考えるので、課題を克服し、活動の意義をさらに深めることができます。また、書くと自分の実践を他の人に知らせることができます。そうすることで、第三者の評価を得やすくなりますし、活動成果を社会還元できます。

論文を書くのって難しそう…

おすすめの事例研究方法だとしても、実際に論文を書くのはたいへんだと思うかもしれません。しかし、論文は書き方や書くためのプロセスが定型的なので、最も書きやすいスタイルだと考える人もいるそうです。ただし、論文を書く上で大切なのは、定型にこだわることではありません。大切なのは対象としている事例をじっくり観察し、考え抜くことだと三上先生はおっしゃいました。

事例研究を共に学びましょう

私たちは、自分の持っている事例をどのような切り口で料理できるでしょうか?三上先生によると、意義ある切り口を見つけるためには、今のうちからCoSTEPで鋭い視点を持って、問題点を見つけようとする習慣を身に付けておくと良いとのことです。事例研究をするのにもっとも重要なものは、「ともに学ぶ仲間」です。独りよがりにならず、励まし合いながら事例研究を共に学ぶグループを作ることをおすすめされました。

CoSTEPでの学びも後半に突入しました。これまで手がけた実践事例を分析し、考え抜き、書くことは自分たちの学びをまとめる一つの手段として有効だと思いました。

三上先生、ありがとうございました。