みなさんの身の回りにある金属をふくむ製品には、どのようなものがあるでしょうか?スマートフォンには複数の金属からなる電子回路が組み込まれ、財布の中には硬貨とICカード、部屋の明かりを点ける電気は銅線を伝ってくる……。私たちの暮らしは金属に支えられています。では、それらの金属がどこで、誰によって採掘されているのでしょうか。
世界では今、鉱山開発を巡って様々な問題が起きています。採掘され続け低濃度の鉱石しか取れなくなった鉱山。危険を承知で深くまで掘り進められる鉱山。環境問題や社会問題を抱えながら開発される鉱山。多くの葛藤があるものの、それでも私たち「消費者」のために鉱山では金属が採掘され続けているのです。
実際、みなさんが「環境に良い」として持っているマイボトルにも、世界中から採掘された鉄のほか、クロム、ニッケルといったレアメタルも含まれています。これらを採掘する際には、大量の土を掘り返さなければならず、その後の鉱石の精製も含め多量の残土や廃棄物が出ているのです。ほかにも労働環境に関する問題や先住権に関する問題など、そこには私たちの知らない、しかし知っておかなければならない問題があります。
今回のサイエンス・カフェ札幌は「採鉱学再考」と題して、採鉱学をご専門に研究されている川村洋平さんをお招きし、鉱山開発が抱える問題と、その解決に向けた技術開発についてお話しいただきます。そして後半では、 参加者どうしで鉱山開発の問題について話し合うワークショップを行います。この機会に、鉱山開発問題について自分の視点で「再考」してみましょう。
参加申し込みは下記のフォームよりお申込みください。
採鉱学再考~1本のマイボトルが教えてくれる鉱山開発のいま~
- 日 時:2023年9月10日(日) 14:30~16:00(開場14:00)
- 場 所:紀伊國屋書店札幌本店 1F インナーガーデン
北海道札幌市中央区北5条西5-7 sapporo55 1F(011-231-2131) - ゲスト:川村洋平(かわむら・ようへい)さん / 北海道大学 大学院工学研究院 教授
北海道大学大学院工学研究院環境循環システム部門資源マネージメント研究室教授。1973年北海道生まれ。2003年北海道大学大学院工学研究科博士課程を修了。博士 (工学)。筑波大学、Curtin大学、秋田大学を経て2021年夏から現職。専門は採鉱工学。Physical WorldとCyber Worldとを繋いだSmart Miningをコンセプトに、センサーやネットワークなどで鉱山操業をデータ化、自動化し、効率的で安全な鉱山操業を実現する技術を研究している。また、近年では採鉱学を修めた人材を育成するため、360°VRシアターなどを用いた教育にも注力している。趣味はヒストリックカー(旧車)と自転車。 - 聞き手:北海道大学CoSTEP 対話の場創造実習 受講生
- 対 象:高校生以上
- 定 員:40名
- 参 加:無料、WEBによる事前申込制(先着)
- 主 催:北海道大学 大学院教育推進機構 オープンエデュケーションセンター
科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)