今やがん(悪性新生物)は2人に1人がかかる病気とも言われ、とても身近な病気になってきています。そんながんの治療は、物理的にがんを取り除く外科手術、放射線を体外から当ててがんを根絶する放射線療法、抗がん剤を注射してがんを抑え込む化学療法の3つを基本の柱として、様々な治療法が日進月歩で開発されています。医学の進歩により、がんが治る時代が着実に近づいているのです。
しかし、医学研究だけで今日の高精度ながん治療が実現しているわけではありません。医学と工学のあいだの研究領域、医工学が、がん治療法の開発に一役買っているのです。
例えば、がんの放射線治療の一つ、陽子線治療を考えてみましょう。陽子線治療は、ガンマ線などを用いた放射線治療と比べて、体内深部のがんに高効率でダメージを与えることができる治療法です。しかし、がんだけをピンポイントで撃ち抜くには、ヒトの呼吸にともなって動くがん組織を観察しながら、陽子線を精密に制御しなければなりません。ここに工学の知見が加わることで、がんだけを殲滅できる陽子線治療が実現する、というわけです。
今回のサイエンス・カフェ札幌では、そんな陽子線を医療分野に適用する研究を行っており、さらに、医工連携も進めている松浦妙子さんをお招きします。工学研究院と北大病院陽子線治療センターのふたつの所属をもつ松浦さん。高精度ながん治療を実現するための医工学分野の研究について、陽子線治療を例にお話しいただきます。
医学と工学のあいだの医工学の世界を、ちょっとのぞいてみませんか?
- 日 時:2024年2月18日(日) 14:00 – 15:30(開場13:30)
- 場 所:紀伊國屋書店札幌本店 1F インナーガーデン
北海道札幌市中央区北5条西5-7 sapporo55 1F - ゲスト:松浦 妙子 (まつうら たえこ) さん
北海道大学大学院 工学研究院 教授
兼 北海道大学病院 陽子線治療センター 医学物理士
東京出身。理学部物理学科にて博士号を取得するが、イタリアでのポスドク生活を経
て分野転向。国立がん研究センター東病院にて陽子線医学物理を学び、医学物理士と
してのキャリアをスタートさせる。白𡈽教授率いる最先端の陽子線治療装置開発プロ
ジェクトの立ち上げを機に北大に着任。2015 年から現研究室に所属。 - 主 催:北海道大学 大学院教育推進機構 オープンエデュケーションセンター
科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP) - 対 象:医工学の研究について知りたい方、陽子線治療のメカニズムを知りたい方、高校生以上
- 参 加:定員60人(事前申込可・定員に達するまで当日受付あり)
- 参加費:無料