2024年11月8日、アノオンシツ会場にてトーク「森の物語:韓国の作家2人が見た北海道大学研究林」を開催しました。対面での開催と同時に、アノオンシツからのライブ配信を行いました。通訳/進行はCoSTEPの朴がつとめました。対面とオンライン合わせて30名ほどの参加者にご参加いただきました。
中川研究林でのリサーチの様子
今回のトークは、イ・ソヨさんとオロ・ミンギョンさんの作品を紹介すると同時に、一緒に研究林で行った10月30日に中川研究林、11月1日に雨龍研究林でのリサーチに対する報告の場でもあります。
イ・ソヨさんは、韓国生物学の歴史を扱って、近代化の過程で書かれた文献を軸に現代の植生を調べて標本やテキストなどの形で作品を発表しています。今回は北朝鮮の植生とも近しい北海道の植物をリサーチしていました。
同日の昼間には、温室に生きるイチジクやハスカップを用いて絵の具(顔料、lake)を制作するワークショップを、CoSTEPの本科実習として開催しました。
オロ・ミンギョンさんは、音を用いて自然の現象を追っていく作品を作るサウンドアーティストです。水の流れを追いながら人間の営みが自然に与える影響を考えられる作品から、公演・展示・映画音楽まで幅広く活動しています。
中川研究林では、窒素と水の循環を研究している福澤加里部さんに取材し、一緒にフィールドワークをしました。森林で水が溜まって川になる源流、最初の場所を目指し、沼や崖を超えて一緒に確認しに行くこともありました。今回のトークでは、水を追ってフィールドレコーディングをした音を一緒に聴く時間もありました。
木の節によって成長年齢を推測する方法、木の見分け方などを教えてもらいました
木の年輪をサンプリングし、樹齢を測って見ました
雨龍研究林では、小林真さんに取材し、一緒にフィールドワークをしました。 湿地にできている雨龍研究林の特徴や、中川研究林から続いたササの働きの話、変化する川の流れと生態との影響など、多岐にわたるテーマについて、フィールドで話し合いました。
対面会場では、温室にあるイチジクをお茶にし、大雪山から汲んできた水で入れたお茶をみんなで楽しみました。
今回のトークを通して、自然に対する眼差し、アーティストならではの発見、アイデアを形にしていく独自性について触れることで、森に対する理解がより広まりました。北海道の生態と韓国とのつながり、生態と歴史を一緒に考える視点など、北海道の研究林を様々な文脈で繋げて考えることができたことは、印象に残りました。また、他の森より研究林だからこそできる試みを体験し、取材できたことも大きな収穫でした。科学とアート、それぞれの試みが重なり合う部分や、それぞれにしかできない部分を見つめ、今後も交流していけることが大事かと感じました。
トークに参加していただいた皆さん、取材にご協力いただいた福澤さん、小林さん、フィールド科学センターの林さんに感謝申し上げます。ありがとうございました!