実践+発信

『伝える』から『伝わる』

2011.3.31

私は情報通信技術(ICT)の世界で仕事をしています。ICTは生活の中に広く浸透しており、現代社会はその上に成り立ていると言っても過言ではありません。この分野の普及が情報収集を容易にし、国境の壁も乗り越えて、いずれ知識社会となることで平等な社会を作ることも可能な要素を含んでいると考えています。しかしそのICTの仕組みや要素技術について意外と知られていない、関心がもたれていないなど、現場にいる者として、ひしひしと感じています。CoSTEPではそれぞれ異なる対象者に対して最適なコミュニケーション手法を学際的な観点、実践の場で学び、情報通信産業界における技術のイノベーション、伝承、教授を促進できるようになることを目的に受講しました。 私は選科Bを選択し、サイエンスライティングを学びました。今まで気にせず読んでいた科学の記事や書籍など、『伝わる文章』という観点から読み直してみると、わからなかったり、理解したつもりになっていることが分かりました。逆に自分の書く文章も伝える側から見るとそのように感じているのだろうと、授業の初回で思い知らされました。そこから1年間、文章というツールを使って限られた字数でいかに伝えられるかという視点で科学記事を執筆し、先生や様々なバックボーンを持つメンバーと多くの時間、議論しながら記事を作り上げていきました。『伝わる』とは、知の蓄積、情報化、移転であり、そしてその先にある社会の変化を目指してゆかなければなりません。知識創造のスパイラルアップはまさに科学コミュニケーション力に依存するなと改めて気付かされ、伝えるのではなく『伝わる』ということを常に考え、科学コミュニケーションを図りたいと思います。 1年間は非常に短く、まだまだ学びたいことがたくさんありますが、一緒に勉強した仲間たちと実践の場で切磋しスキルアップしてゆきたいと思います。仲間のみなさん、1年間ありがとうございました。そして今後ともよろしくお願いいたします。

川村 雅之
株式会社ナレッジクリエーションテクノロジー 代表取締役