実践+発信

スタートライン立った修了後も続く学び

2020.3.30

忙しさを理由にあきらめた事って何だろう

中学生・高校生に理科を教えながら、「もっと学ばなければ…」と日々焦りを感じていました。中高生に科学のおもしろさを伝える授業をするには、どうしたらいいのだろうか。そのような時に出会ったのがCoSTEPです。日々の忙しさを理由に、受講の申し込みをあきらめていたら、あっという間に4、5年経っていました。学習についていけるのかという不安もありました。去年の4月、このまま忙しいのを理由にしていたら、一生何もできない気がして、勢いだけでCoSTEPに応募しました。久々にCoSTEPのHPを見ると、締切ギリギリだったので、急いで課題文を書いて提出しました。そして、CoSTEPの学びが始まりました。選科Bの学びはe-learnigが中心でした。初めはやる気があったものの、忙しさを理由にCoSTEPの学習に時間を取らなくなっていきました。だんだん学習へのモチベーションが下がり、「CoSTEPを続けられるかな」と思っていたときに集中演習の日がやってきました。

集中演習は特別な3日間

北大の教室に入ったとき、先生方や選科Bの受講生と会えて、嬉しい気持ちになりました。e-learningは、一人で学んでいるようで孤独でした。この時にやっと、同じように学んできた仲間がいたんだと実感できました。選科Bは集中演習でサイエンスライティングを学びました。こんなに濃い3日間ってあるんだな、と思うくらい、凝縮されたプログラムでした。年齢、立場、背景の異なる受講生の方々と共に学び、ピアレビューなどを通して、お互いに向き合うことができました。また、書くことを通して、自分とも向き合うことができた3日間でした。相手に伝わる文章を書こうとすることで、相手のことを思い、自分の考えを深めるのだと、まさに「書くことは考えること、考えることは書くこと」なのだと実感できました。この3日間を機に、科学技術コミュニケーションとは何かということを今まで以上に考えるようになりました。

小さな変化を積み重ねれば…

集中演習後、自分の中で色々と変化がありました。第一に、モジュール課題の書き方が変わりました。課題について考えるだけでなく、読み手を想像して書くようになりました。だんだん、書くことが楽しくなり、生徒向けに文章を書く機会が増えました。と同時に、書くこと・伝えることの難しさを、より感じるようになりました。第二に、本を読むようになりました。集中演習では、Bの図書館で先生方や受講生が本を紹介しました。そこで、自分一人では出会えなかった本を知ることができました。先生方や他の受講生が言っていることを理解したいという思いから、本を読み始めました。新しい視点や考え方を学び、講義内容で理解できなかったことが、少しずつ理解できるようになりました。また、自分の知らないことの多さに気づくことができました。第三に、少しずつ積極的に動けるようになりました。科学技術コミュニケーターとして、自ら動く必要性を強く感じるようになったからです。それは、先生方や他の受講生を見て学んだことだと思います。続けることの大切さも、講義を通して学びました。

小さな変化の積み重ねで、修了式の準備について、積極的に動いてみようという気持ちになりました。様々な場所に住む選科Bでは、オンライン上で準備を進めることになりました。同じ場所に集まったのは、集中演習の3日間だけでしたが、ピアレビューなどを通し、お互いを思うコミュニケーションができるメンバーだったので、Zoom会議などで議論を深めることができました。特に、同じ班の方々とは集中演習後も、ゆるく繋がり続けていたので、オンライン上でも円滑なコミュニケーションができたのだと思います。修了式の準備に積極的に関わることで、多くの発見をし、学ぶことができ、受講生との繋がりを深めることができました。

新しい世界で何をする?

科学技術コミュニケーションの多様な在り方を学び、修了後にしたいことがはっきりとしてきました。新たな疑問も生まれました。受講前に思っていた科学のおもしろさを伝えたい気持ちだけではなく、「科学技術と社会の問題を一緒に考えていきたい」と思うようになりました。自分の立場・自分のフィールドでできることは何かを常に自分自身に問い、行動していきたいです。CoSTEPを通して出会った仲間との繋がりをこれからも大切にし、お互いに科学技術コミュニケーションの壁にぶつかったとき、話し合える関係性を築いていきたいと思います。

山内 かな子(選科B)
中学校・高校理科教員