実践+発信

ラジオ163:20091113

2009.11.13

 

光触媒が地球をキレイに!

セレンディピティ〜科学を変えた瞬間〜

パーシー・スペンサー「電子レンジの誕生」

研究室に行ってみよう

北海道大学・触媒化学研究センター 触媒反応化学研究部門・阿部竜(あべりゅう)先生

コーステップインフォメーション

サイエンスフェスタ・北大触媒GCOEによる「固体酸触媒を使った蛍光色素の合成」の実験について

◆研究室に行ってみよう〜光触媒が地球をキレイに!〜

今回は北海道大学が得意としている触媒についてのお話です。

中でも、最近特に注目されている「光触媒」について北海道大学・触媒化学研究センター 触媒反応化学研究部門・阿部竜(あべりゅう)准教授の研究室を訪ねました。

阿部先生(右端)が実験機器の解説をしてくださいました

担当ディレクターは5期生のケロさんこと、毛呂達(もろさとし)さんです。阿部先生は、お忙しいにも関わらず、丁寧に取材に応じてくださいました。

触媒化学研究センター・阿部竜(あべりゅう)准教授

阿部先生(左)、収録の滝沢麻理さん(中央)、担当ディレクターの毛呂さん(右)

■インタビューのまとめ

Q.「光触媒」とはどんなものですか?

A.光を吸収して、その光のエネルギーを利用して様々な化学反応を起こす物質です。

光触媒による実験の様子

Q.研究のテーマは何ですか?

A.主に2つあります。「水の分解による水素の製造」と「有害物質の分解・無害化」です。

Q.それぞれの研究テーマが実用化されるとどんな良いことがあるのですか?

A.「水の分解による水素の製造」では、光触媒をうまく用いると、太陽光の力を使って水を酸素と水素に分解することができます。この反応が効率よくできるようになれば、究極のクリーンエネルギーになると期待されています。

研究室では、植物の光合成を真似することで、可視光だけで水を分解して水素を作ることに世界で初めて成功しました。今、この効率を上げようと一生懸命努力しているところです。

もう1つの「有害物質の分解・無害化」では、光触媒の強い酸化能力で、物質の表面に付いた有機物を、二酸化炭素と水に分解することができます。

建物の壁やガラスに光触媒を塗っておくと、太陽光などを吸収して表面の汚れを分解し、きれいに保つことができるのです。

他にも、菌やウイルスの繁殖を防いだり、悪臭物質を分解する効果があります。今、室内の蛍光灯の下でもよく働く「酸化タングステン」という物質を使った実用化を進めているところなんです。

Q.阿部先生から皆さんへのメッセージをお願いします!

インタビュワーの毛呂達さん

A.化学の力で世の中はとても便利になりましたが、環境破壊も起こしてきました。この先地球上で生活を続ける為には、化石資源に依存しない新しい仕組みを作り出す必要があります。

丁寧に質問に答えてくださった阿部先生

これからの未来は、化学の力が、環境の修復や新しいクリーンエネルギーを生み出す源になると、私は思っています。ぜひとも皆さんにもそのような夢を持って、化学、そして科学に接してもらえたらと願っています。

最後にみんなで記念写真

阿部先生は、子供の頃から、世の中の役に立つ仕事をしたいと思っていたそうです。強くそれを感じるようになったのは、特にお子さんが生まれてから。子供たちの世代のため少しでも貢献したいと思って、この研究を続けているそうです。

これからも阿部先生のご活躍に注目していきたいと思います!ありがとうございました。

◆セレンディピティ〜科学を変えた瞬間〜

セレンディピティとは、「思わぬものを偶然に発見する能力」「幸運を招き寄せる力」という意味(広辞苑)。担当は、ナナピーこと、5期生の川島奈那子さんです。

今回は電子レンジ開発の歴史についてです。

1945年のアメリカでは、戦争の為にマイクロ波の研究が行われていました。高性能のレーダーを開発して、敵を見つけ出すためです。

電子レンジの原理を発見したパーシー・スペンサー。同僚が実験中に食べていたチョコレートバーが溶けているのに気づいたことで、偶然にもマイクロ波の加熱効果を発見しました。そのため、欧米では今でも電子レンジは、「マイクロウエーブオーブン」と呼ばれています。

どんなお話になったかは、番組をぜひ聞いてくださいね!

今回も楽しんでもらえるでしょうか?毎回ドキドキです

(文責:柿本 恵美)