実践+発信

終わりは始まり:CoSTEPでの1

2023.3.20

中村 吏惠(2022年度 選科B/高校教員)

理科教員はサイエンスコミュニケーターだ!

私は理科の教員として「理科の面白さを伝えたい!」と日々の授業にのぞんでいますが,打ちのめされることもしばしば…どうすれば生徒たちに理科の面白さを伝えることができるのだろうか?どうすれば興味を持ってもらえるのだろうか?その技法を身に付けたいと思い,CoSTEPを受講しました。九州在住の身としては,毎週の講義をオンデマンドで受講できることが最大の利点でした。選科にはA,Bがありますが,私は全く意識したことがなかった「サイエンスライティング」について学びたいと思い,選科Bを受講しました。

多様な視点から学んだ オンデマンド講義

CoSTEPの講義は多様で,科学技術コミュニケーションの本質を理解しようとする講義や,「伝える」ための手法としてのアート,プレゼンテーション,ライティングなどさまざまなアプローチ方法を学ぶことができました。各モジュールの最後には課題の提出があります。この課題提出が良いペースメーカーとなってくれました。

ひたすら書いた濃密すぎる3日間  集中演習@北大

選科Bでは10月に3日間の集中演習があります。今年度は事前に「プレスリリースをもとに高校生向けの科学ニュースを作成する」という課題が設定されました。集中演習前に一度提出し,コメントをもらった後,演習の3日間で仕上げるというものでした。

全国各地から集まった24人が4班に分かれ,互いの文章を読みながら切磋琢磨します。レクチャーやワークなども盛りだくさんのため,時間に追われ,ついていくのに必死でした。当初,日頃高校生と接している身としては「高校生対象なんて余裕〜」と,たかをくくっていました。しかしピアレビューで仲間からコメントをもらうと「何が言いたいかわからない」だの「難しすぎる」だの厳しいコメントが…。撃沈です。そこから書き直し,ピアレビュー,書き直しの繰り返しでした。

レクチャーでは一貫して「対象について深く考える」ことが強調されました。対象を決めつけない,対象が理解できるように翻訳する,などです。今まで「対象」についてそんなに考えていただろうか?「教える」だけで一方的だったような。そうか,私は双方向のコミュニケーションを意識していなかった,と気付かされました。

これからが始まり

集中演習が終わると再びオンデマンドでの学習です。そんな中,成果発表の準備で再び選科BのみんなとLineやZoomで繋がることになりました。選科は年齢も職業も居住地も異なるさまざまなバックグラウンドを持つ人の集まりですが,あの3日間の共通の経験が私たちを繋いでくれています。CoSTEP終了後も18期のLineや修了生のメーリングリストで繋がりが持てるようです。SciBaco.netでは学びを継続することができます。

そして書くこと。私にとって書くことはまだまだ課題が多く,CoSTEPでの学びの終わりは始まりに過ぎないと思っています。さまざまな刺激を受けながらこれからも学び続け,伝えることを続けていきます。

他の受講生体験記はこちら