2023年1月12日、19日、2月9日の3日間にわたり、東洋カメラハウス2F、レンタルキッチン東洋にて18時から21時まで「サイエンス・パフェ」を開催しました。
「サイエンス・パフェ」では、テーマに沿って作られたパフェを片手に、参加者同士の会話が盛り上がるような仕掛けを用意しました。各テーブル4人にファシリテータがついて、自由な会話が交わされました。本記事ではそれぞれの回について、その様子をご報告します。
近藤隆(2023年度本科/北海道大学医学部医学科6年)
第一回のテーマは「『知れたらいいな』はホントにいいの?」。近年話題になっている遺伝子検査に関して取り上げました。未来を知ることができたとしても、それは果たして良いことなのでしょうか?
参加者にはまず、パフェのメニューが手渡されました。パフェの上にはシュークリームが載っていて、3種類用意されています。事前にシュークリームの中身を知ることもできますし、知らないでおくこともできます。あなたならどんな選択を取りますか?
事前に心の準備をしておきたいから中身を知っておきたいという意見や、食べたときのワクワク感を大切にしたいから知らないでおくといった意見など、さまざまな考えが飛び交いました。
第二回のテーマは「未来のためのミステリーパフェ」。核廃棄物問題を扱ったテーマです。参加者はパフェを片手にミステリーを解くところから始まります。ミステリーは核廃棄物の処分場をめぐって意見が対立する村が舞台です。ある日、町長のもとに処分場設置をやめるように警告する怪文書が届きます。さて、誰がこの怪文書を送ったのでしょう・・・
実はミステリーの登場人物はすべて怪文書作成に関与していました。表面のランチョンマットには登場人物のプロフィールやその人たちの対外的意見が書かれています。しかしランチョンマットを裏返すと…登場人物たちの本音が書かれています。実は核廃棄物処理場誘致を賛成していた登場人物も、本音は開発をあまりよく思っていないなど、彼らの本音は実に様々。原子力開発には利害関係が複雑に絡み合っています。
参加者の中には身近に原子力発電や核開発などに関わっている方もおり、話が尽きることはありませんでした。
最後にパフェにのせられたサクランボ、おいしくてかわいいパフェの主役ですが、食べ終わった後に絶対に種が残ります。さて、その種を私たちはどう処分していくのですか?
第三回のテーマは「守りたいもの、悔いなき選択」。自然災害でのデマをテーマにイベントを組み立てました。奇しくもイベント企画中に能登半島地震が起こり、Xでのデマが話題となる時事性を帯びたテーマとなりました。
実際に災害が起こった時に自らがデマを作ったり拡散したりしないたりしないように,あえてデマを作る側に立ってみました。自分でデマを作ることでデマが生じる状況と心理を理解することを目的としました。
実際に作られたデマには、「北大からやばい菌とかガスが漏れている」「興奮した熊が山から下りてきている」など、バラエティに富んでいました。
不安な気持ちがデマを誘発してしまう。自分もデマを作ってしまう可能性があるというという意見が聞こえました。
各回とも、設定したテーマにとらわれず自由な意見が交わされていました。時間が制限されていない分、話が広がりやすくなっているという印象を受けました。
参加者の中には18時の開店から21時の閉店まで会話を楽しんでくれた方、3回すべていらっしゃった方などもいらっしゃいました。また、パフェのクオリティが高いとお褒めの言葉をいただきました。パフェは何度も試作を繰り返しただけに、感慨深いものがありました。
サイエンスパフェの売り上げは、日本赤十字社の能登半島地震災害義援金に寄付させていただきました。
「サイエンス・パフェ」にいらっしゃった方、ご支援していただいたみなさんに感謝を申し上げます。ありがとうございました。
CoSTEP 19期 対話の場の創造実習:
近藤隆、崎野希実子、佐藤聡太、中村明日香、奈女良実央、三上敦、宮下諒太