実践+発信

まちづくりが専門だけど「科学技術」コミュニケーターを目指してみたワケ

2014.3.24

私は北大で都市計画・まちづくりを専攻しており「自分とCoSTEPは関係が無い?」とも思いましたが、修士1年でCoSTEP本科生として受講させていただきました。

当初は「科学技術コミュニケーション」についての知識は皆無で、更に自身の研究領域が社会科学系であることから、縁遠いように感じていました。しかし、博士課程への進学を考えていたことから「専門的知識と一般市民の理解をつなぐ」というCoSTEPのコンセプトに興味を持ち、また多様な関係者間で複雑に絡み合った利害関係を調整するという科学技術コミュニケーターの役割は、まちづくり分野でも大変重要と考え受講を決意しました。

本科生の場合1年間のプログラムは講義・演習・実習から構成されています。講義では充実した講師陣のもと、科学技術コミュニケーションに関する多様な項目がテーマになっているので、幅広い世界を知るきっかけとなりました。演習ではライティングやプレゼンテーションなどのスキルの習得が目指され、通常の学生生活ではスキルそのものについてのコメントを貰う機会は少ないので、とても良い経験になりました。

特に印象に残っているのは実習です。受講生は4つのコースから選択する事ができ、私は「対話の場の創造」実習でイベント等の企画からワークショップの運営までのプロセスを体験する事が出来ました。特に自分たちが一から考えたまちづくりに関するサイエンス・カフェの企画そして実施にあたって困難も多かったですが、自身の企画力やグループでのイベント運営能力などが培われたように感じます。またアンケート結果から、イベント参加者の90%がまちづくりへの参加意欲が向上したという結果からは達成感を感じ、自身の研究活動においても参考となるフィードバックが得られました。

1年間の活動を通じて出来たたくさんの仲間や多様な経験はCoSTEPでしか得る事の出来なかったもののように感じています。科学技術コミュニケーションの世界に足を踏み入れたばかりですが、専門領域であるまちづくり分野でコミュニケーターとしてのセンスを発揮できるよう、これからも学びを続けていきたいと思う1年間でした。

山崎 嵩拓

北海道大学大学院工学院空間性能システム専攻都市計画研究室