実践+発信

2016年度Webデザイン実習 課外特別演習「クリプトンフューチャーメディア行こう!」

2017.5.29

CoSTEP12期 Webデザイン実習

上林菜月/永森彩奈

2016年度のWebデザイン実習では、課外特別演習として社会見学を行いました。今回伺ったのは、バーチャル・シンガー「初音ミク」で有名なクリプトン・フューチャー・メディア株式会社(以下、クリプトン)です。一時間という短時間ではありましたが、たいへん密なお話を伺うことができました。クリエイターのためのクリエイター「メタクリエイター」の皆さんが働く現場のお話は、科学コミュニケーションにも応用できる興味深い話がありました。

今回の訪問では、あらかじめ用意した質問にお答えいただくという形でお話を伺いました。

(クリプトン・フューチャー・メディア株式会社にて、伊藤博之社長とCoSTEP Webデザイン実習の村井貴先生と。/写真の向かって右から二人目が上林菜月、向かって左が永森彩奈)

(北大OBの桑原早紀さん。今回の訪問をコーディネートしてくださいました。)

音で発想するチーム

クリプトンでは、コーポレートスローガンとして「音で発想するチーム」を挙げています。クリプトンの事業は、図式化すると「T」の字をしています。主な事業のうちメインで深く掘り下げている、中心となる事業は「音」に関するものです。10万件以上の音源・BGM・効果音など「音」を取り揃えたサイト、SONICWIREを運営しています。ここで学んだノウハウやスキルを、両側に広く伸びた関連する別の分野でも応用し、そこで得た新しいスキルはまた、音の事業やそのほかの事業に還元します。その繰り返しによって、現在のようにモバイルコンテンツやキャラクター、ローカルプロジェクトなど幅広く、それぞれ深く事業を展開しています。

(お忙しい中、伊藤社長が直々にご説明してくださいました。)

(伊藤社長にクリプトンのスローガンを図示してご説明いただきました。)

例えば、「着うた」に関する事業を通じて培ったスキルは、現在のモバイルコンテンツ事業に生きています。また、2016年の7月からサービスを開始したスマホ用音楽カードSONOCAでは、世界的に音楽はダウンロードするものになりつつある中、未だにCDを買い集める日本人の「コレクター精神」に着目し、キャラクター事業やグッズ開発のノウハウを生かして、コレクションしやすい「カードの形」が生まれたそうです。

クリエイターのためのクリエイター

クリプトンには、手芸からDTMまで幅広く創作活動をしている社員さんがたくさんいます。趣味といえば、スポーツや映画観賞などもあり、必ずしも創作活動に関することばかりではありませんが、どうしてこんなに創作活動が好きな方が多いのか、質問してみました。

クリプトンでは、piaproという投稿・コラボサイトを作って、クリエイター同士がコミュニケーションを取り、協同でコンテンツを作ることができる場所をデザインしています。SONOCAではクリエイターと消費者の間のコミュニケーションのための新しい方法を提案しています。こういった、ユーザーに寄り添った視点からクリエイターのサポートをするサービスを行う上では、クリエイティブなマインドを持った人が求められます。つまり、クリエイティブな活動が好きなクリプトンの社員さん達はクリエイターのためのクリエイター「メタクリエイター」として日々活躍しているのです。

SONOCAは、QRコード・シリアルコードに楽曲を指定することにより、名刺のように音楽を配ることができます。新しい価値を生み出せるのはメタクリエイターならでは。)

札幌や北海道の町おこし

クリプトンでは、これまでの事業で培った「コンテンツ」や「技術」を応用して、地域プロジェクトにも力を入れています。北海道を応援するキャラクター「雪ミク」を始め、“つくる人”たちが集まって新しい出会い・発見・チャンスなどがうまれるクリエイティブスペース「MIRAI.ST cafe & kitchen」、札幌から食のムーブメントを作る「札幌パフェ推進委員会」、北海道の情報とどこからでも繋がることができる地域情報発信アプリ「Domingo」など、北海道とつながる・札幌で新しい価値を創り出すための企画がたくさんあります。今後札幌をどう盛り上げていくのか、お話をうかがいました。

(地域プロジェクト部門の服部さん。CoSTEP受講生である私たちにぴったりな内容を熱く語ってくださいました。)

企業が地域プロジェクトを行う際、環境・社会・経済の3つの観点から持続可能で長続きするプロジェクトとなるよう工夫するものです。しかし、クリプトンではそれよりも、集まった人たちの力で新しい価値を創り上げていくことに可能性があるのでは、と考えているそうです。

今ある環境・社会・経済の状況をもとにプロジェクトを組み立てても、地域の活性化には繋がりません。今よりももっとよくするためには、プロジェクト側からこれらを変えていく必要があります。札幌は開拓の歴史を持つまちで、比較的新しいものを受け入れやすい特徴があると言われています。この街で新しいことを試し、そこに集まった人たちで盛り上げていく。そしてそれを札幌から世界に発信することで、何か新しい価値が生まれることを狙っているのです。

2017年1月25日よりサービスが開始した地域情報発信アプリ「Domingo」では、道民のための情報アプリであるだけでなく、北海道以外に住みながらアプリによって北海道とつながる“バーチャル道民”を増やし、北海道への興味・関心を集めることでもっと北海道を活性化させることを目指しています。

初音ミク」現象において、ネットを介して新しい創造文化が花開いたように、「北海道」や「札幌」も今後リアルとバーチャルの交流を介してたくさんの人を巻き込み、新しい価値が生まれて、もっと賑わっていくのではないでしょうか。

まとめ

科学技術コミュニケーターは、サイエンスと人、科学技術と人、専門家と一般市民など、様々なものの間の距離を縮める役割を担います。コミュニケーションの場を作るにあたり、それぞれの人に寄り添えるような「マインド」を持ち、「メタな視点」で物事を考えることは非常に重要な姿勢なのではないでしょうか。リアルとバーチャルの二つのメディアを活用したコミュニケーションの手法は、CoSTEPで実践してきたサイエンスカフェやライティング、Webデザインなどを通して培ったスキルと組み合わせることが可能です。CoSTEPの活動の中で学んだことは、たとえ「科学技術コミュニケーションらしい」現場でなくとも、たくさん応用して生かせる場所があるはずです。その逆も然り、今後経験するあらゆることは、もしかしたら科学技術コミュニケーションに応用できるかもしれません。

今までの、そしてこれからの学びを大切に、今後の社会での活動を続けていきたいと思います。


(今回お話を伺った社員のみなさんと記念撮影。本当にありがとうございました。)