私は札幌の私立高校の教員をしていますが、教育の難しさと求められる範囲の拡大に頭を悩ませる日々を過ごしていました。ただ教科書通りの授業をするだけではなく、これからの社会を生き抜く力を子どもたちに身につけてもらうためには何をしないといけないのか。悩み続ける中、私たち教育者は、子どもたちに教えることと同時に、自分たち自身が学び続けることも非常に重要であるということに気づきました。
では何を学んでいくかを考えていた時に、CoSTEPのプログラムを知りました。身の回りの全ての科学と向き合い、ファシリテーション、ワークショップなど企業や教育界で活用できる知識を細かく学べる場だと感じ、すぐに応募しました。
私はライティング・編集実習に所属し、「いいね!hokudai」の記事執筆などを行いました。人を取材し記事を書くということは、一見単純そうに見えて奥が深いです。相手をしっかりと理解した上で、情報を正しく、わかりやすく伝えなくてはいけません。一つの記事に隠された多くの裏側を学ぶことができたのはとても貴重な経験でした。同時に専門的な知識を不特定多数の読者にわかりやすく伝えることの難しさを改めて痛感することができました。大切なのは常に相手の立場に立つこと。忘れていた原点に戻れた気がしました。
社会人とCoSTEPの両立は時間と労力の面で大変ではありましたが、先生方のわかりやすく手厚い講義・演習と、メンバーの支えのおかげで充実した1年間を過ごすこができました。現在は学んだことを早く実践したい気持ちでいっぱいです。また社会人として一番の収穫は、志高い学生や社会人の方々と触れ合えたことです。どうしても自分の業界だけで生活しているとモチベーションを保つのに苦慮したり、クリエイティビティが低下してしまいます。このCoSTEPの一流の知識・技術を持つ先生方、若いエネルギー溢れる学生、学び続ける姿勢をもつ社会人の方々と触れ合う時間、これがあるだけでも日々の生活が好転します。
最後に、私たち教育者がこれから求められることに上限はない。授業力(目の前にいる子どもたちにレベルをあげながらわかりやすく伝える技術)、クラス経営力・学校経営に資する構想力(ビジョン)・展開力(戦略と分析)・実行力(0を1にする力)、加えて社会で生き抜くための生きる力を育む能力、、、この無限な課題を捌ききるためには「学び続ける」しかありません。だからこそ、多くの方と出会い、様々な分野の学びを吸収することが重要だと思っています。CoSTEPはこれら全ての課題を解決するヒントが集まる場所です。ぜひ一歩、踏み出してください。その一歩で得られるものはあまりにも大きいです。
田渕久倫(本科 ライティング・編集実習)
高等学校教員