私がCoSTEPを受講したのは、自分の研究を分かりやすく説明できるようになりたいという思いがあったからです。大学院生という立場上、あいさつがわりに研究の話をする機会がよくありますが、研究をうまく説明するためのヒントが得られるかもしれないと思ったのです。
実習では、北大広報誌『リテラポプリ』の制作を行いました。そこでは、科学技術についての文章表現の技法だけでなく、自分の思いを伝えるためには不可欠な編集という行程について、制作を通じて学びました。モノづくりの際に生じる産みの苦しみを味わったことが印象に残っています。北大広報誌という立場で伝えたいことや、大切にしたいことについてメンバー全員で何度も話し合い、深く掘り下げていきました。
研究者の方々に取材した内容を元にして記事を執筆するのですが、内容を分かりやすく、かつ正しく伝えることは本当にむずかしいと感じました。大学院に通いながらの制作はきつい時期もありましたが、実践しながら学べたことは多いと思います。完成した『リテラポプリ』の冊子が積み上がっている光景は想像以上の迫力でした。
人生のなかで、自分から社会へ何かを発信した経験がある人は意外と少ないのではないでしょうか。CoSTEPでは1年間をかけて、じっくりと自分の思いや主張を形にすることができます。表現したいことをみつけ、形にしていく過程は、自分自身と向きあうよい機会だと思います。それに加えて、講義や演習などを通じて受講生や先生の方々のさまざまな考えに触れることができます。いろいろな人とコミュニケーションを取ることで、常に刺激を受け続ける1年間になると思います。CoSTEPは、研究や仕事など日々の生活に加えてエネルギーを割かなければならず大変ですが、そのぶんふだんの生活とは違ったことを体験できます。迷ったらぜひチャレンジして下さい。
- 石川 健介
- 北海道大学 環境科学院 修士課程