実践+発信

【準備編】体験型謎解きゲーム×チームワーク「エネルギー危機からの脱出ミライからの招待状~」を開催しました

2020.2.27

小川 夏佳、坪川 耀一、中村 結奈、樋口 栄子、堀内 浩水(2019年度 本科/学生・社会人)

2020年2月11日(火・祝) に開催した「エネルギー危機からの脱出〜ミライからの招待状〜」の開催レポート【当日編】に続いて、【準備編】と題し、イベント開催までをレポートします。

2019年11月、新たな手法での対話の場を創造するため、様々な話し合いが行われました。私たちに課せられたミッションは「ゼロから新しいサイエンスイベントを作ること」です。

(企画会議の様子)

まずは、全国でどのようなサイエンスイベントが行われているのかについて参加メンバー各々で調べ、情報を共有するところからスタート。次に、メンバーがそれぞれやってみたいと思うイベントの企画を考えて発表しました。扱いたいテーマや形式は様々でしたが、議論を重ねていくうちに、「自分ごととして考えてもらう機会を提供する」、「遊び感覚で参加できる場を設ける」、「人によって考え方や見え方に違いがある」ことをイベントに込めたいという共通の思いがあることが分かりました。そこで、対話とリアル謎解きゲームをセットにした形式のイベントを考えていくことになりました。選んだテーマは「エネルギー問題」でした。

しかし、方針を決めたのは良いものの、私たちは複雑に入り組んでいるエネルギー問題もリアル謎解きゲームについてもほとんど知りません。そこで最初はエネルギー技術や問題について調べたり、実際にリアル脱出ゲームに行って体験しました。その中で私たちの取り扱うべき問題やイベントの方向性が見えてきました。

広報戦略編

イベント開催まで残り1ヶ月。開催日と場所を急いで決めなければなりません。年始に札幌市内の様々な会場を下見して、開催場所は札幌市の公共施設エルプラザ内にある、環境プラザに決定しました。環境プラザの三瀬さんには当日まで大変お世話になりました。そして、日程は2月11日、建国記念日です。

次に広報を行っていくため、小川・樋口を中心にグラフィックデザイン実習班とフライヤーデザインについて打ち合わせをしたり、広報計画を立てたりしました。グラフィックデザイン班の益田さんが作製してくれた、複数のすばらしいフライヤー案の中から砂時計をモチーフにしたものが最終的に選ばれました(フライヤーデザインはこちらをご覧ください)。素敵なフライヤーを作製していただいて本当にありがとうございました。おかげでとてもたくさんの申し込みがありました。

(グラフィックデザイン班の皆さんと)

ストーリー作成編

イベントのストーリー部分は堀内を中心に考えていきました。参加者がワクワクできて、でも完全なフィクションにはならないようなストーリーを作成するのに苦労しました。そのため、「電力会社」「行政」「市民」それぞれの立場の方から実際のお話を聞いて情報収集を行い、企画のストーリーや設定について深める参考にさせていただきました。

電力会社:三上 博光さん

CoSTEPの昨年の修了生で、電力関係の会社で広報のお仕事をされています。
普段私たちがあまり意識していないで使っている電力がどう作られているのか、どう届いているのか、それを支える人がどう働いているのか、といった話をたくさん聞かせていただきました。電力は「当たり前」に存在していないといけないが、その逆は「有り難い(ありがたい)」だと思う、という風に話されていたのが印象的でした。電気が届けられるありがたさに気づきを得られる企画を目指さなくてならないと感じさせられるお話を伺いました。

(三上さんと)

行政:吉野 裕宜さん

当別町役場で、まさに「エネルギー推進室」の室長として働かれています。
当別町では、新しい町長が着任されてからエネルギー問題により積極的に取り組むようになったと伺いました。特に、再生可能エネルギーの導入を推進しており、間伐材を利用したバイオマス発電は、町民の皆さんとの勉強会を繰り返しながら進めている取り組みだそうです。街に暮らす人たちの考えは、どうすれば行政の取り組みに反映されるのかという事を実例として学ぶことができました。

(吉野さんと)

市民:岡崎 朱実さん

CoSTEPの修了生で、イベント会場である札幌環境プラザで環境相談員をなさっています。

さらにNPO法人北海道グリーンファンドに所属し、市民風車の設置を約17年前から推進されていたり、市民向けに電力の共同購入や省エネ教室を行うといった活動をされているそうです。行政や電力会社に働きかけるのではなく、自分たちで電力を選択することや、自分たちで選択肢を創り出すことを実践されてきた岡崎さんの観点は、自分たちにできることは何かという事を考えるヒントを与えてくれたと思います。

(岡崎さんと)

ご協力いただいた皆様、本当にありがとうございました。

対話・謎作り編

お話を聞いてさらに理解を深め、よりコンテンツのレベルを高めていく準備ができました。さて、ここから実際に来場者に解いてもらう謎と、対話してもらうためのシステムを作る過程に入っていきます。

対話のシステムを作るため、過去に日本未来科学館で、エネルギーに関するワークショップを行なっていた谷明洋さんにお話を聞かせていただき、体験させていただきました。発電方法のレクチャーから自分たちの価値観を見つけ、他の人たちの考え方と違いを知るための枠組みの一例を知ることができました。ありがとうございました。

(谷さんと)

谷さんのワークショップなどを参考に対話部分は堀内が作成していきました。自分の大切にしている価値観と相手の価値観との相違をすり合わせて合意したうえで、チームとして何を最も大切にしたいのか、選択のジレンマを入れるのが難しかったです。

そして、謎の作成はこのイベントの発案者でもある坪川が中心となって行いました。謎の内容をただのひらめきクイズのようにするのではなく、実際のエネルギーの問題や技術に関連する謎を作る、そして、解いた後で考えてもらう、自分事にしてもらう、ということが最も大きい課題でした。様々な人に聞いたり、皆が調べてくれた内容をもとにどれが謎の作成に使えそうかを考えて、様々な謎のサンプルをもとにして作り上げていきました。そして、最後に参加者が行った選択が脱出するために必要になる、というところは古澤先生と共に考え、最終的に「対話部分で選んだミライセンタクカードが脱出には必要となる」という思い描いていた形になりました。

空前絶後の忙しさ編

内容が詰まったら次に必要なのは実際に本番で使用する物品の作製です。小物類の作成に始まり、謎が書かれたものの印刷。動画の撮影・作成、対話部分で使用するカードの印刷。たくさんの作業があり、たった5人ではとてもとても終わる量ではありませんでした。そんな時、他の実習に所属する仲間や、修了生などCoSTEPの大勢の方々が手助けをしてくれました。また、物品の作成と並行して、リハーサルを行なっていきます。プロジェクトマネージャーの中村の指示のもと、みんなで一丸となってイベントを作り上げられたことが本当に嬉しかったです。

(リハーサルの様子)

(重要な役割を持つ謎ブロック。手作りです)

本当に様々な方の助けを得て、この「エネルギー危機からの脱出 ~ミライからの招待状~」が完成しました。一人ひとりに感謝の思いがあふれ出てたまりませんが、ここでは割愛させていただきます。本当にありがとうございました。

さて迎える本番はどうなるのでしょうか?
当日の様子は【当日編】をご覧ください。