実践+発信

画面越しの振り返り

2021.4.1

私がサイエンスコミュニケーション(以下「SC」)と出会ったのは大学院の1年生の時でした。CoSTEPとは別のSCの講座を受講したのがきっかけです。当時はまだ学生ということもあり、研究以外の自分の時間はSC活動に使うことができました。
社会人になり、新しい場所で生活を始めると、生活のほとんどは仕事のことを考え、休日にSC活動をしようと思っても、周りに仲間がいない状況が続きました。そうしていくうちにSCマインドが薄れていくことを感じ、「これではいけない!」「もっと新しい刺激が欲しい!」と思い、受講したのがCoSTEPの専科Aでした。

(においをテーマにしたオンラインイベント)

例年、専科Aでは集中講義が北大で8月中にあるらしく、「8月に北海道に行ける!」と学習意欲満々、観光する気満々で期待に胸を膨らませていました。ですが、残念なことに2020年度はCOVID-19の影響もあり、専科Aの講義や8月の集中講義のイベントの企画・運営・開催、最後の修了式まで全てがオンラインでの受講となりました。
8月のイベントに向けて、私たちのチームはCOVID-19の前と後の世界での身近な変化に注目してほしい思いから「におい」をテーマにしたイベントを企画しました。イベントの内容をwebミーティングで詰めて、当日もオンライン開催という一度もリアルで会わない運営体制で、これまた「におい」という画面越しでは伝えることが難しいテーマにしたことはかなり冒険だったと思います。

ミーティングはZoomで、連絡はslack、資料作成はofficeツール。これまで使ったことのないツールやプロセスで1からイベントを組み立てていくことは、初めての体験でワクワクする反面、チームメンバー間で意思疎通が取れない、タスクが個人に偏ることもあり、画面越しのチームビルディングの難しさを実感しました。イベントの企画から開催まで、成功したこともあれば、オンラインならではの失敗もありましたが、チームメンバーそれぞれが今後も活かせる多くのことを学べました。いつか一緒にイベントを作った仲間と飲みに行きたいものです。もちろん他の専科Aのメンバーもです。

(オンラインイベント終了後、メンバーとの一枚(筆者・右中央)

2020年という年は3.11に続き、社会がSCを求めた年だったと思います。一方で、有事の際にしかSCが求められない現実は3.11当時と何も変わっていないなぁと感じました。他方で、SCに限らず、様々なところで価値観が変わった年であったとも思います。例えば、これまでリアルで対面で会話することが、画面越しにオンラインでやりとりすることが普通になりました。今では仕事だけでなく、サイエンスのイベントや学会もオンライン上で開催することが一般的になっています。自分にとっての価値観やSCマインドもこの1年でガラリと変わったのを感じます。

CoSTEPでの1年はこれで終わりですが、SCを実践していくのはこれからです。イベントを作った仲間と掲げた「目指せSC流行語」を目標に、科学と社会を繋げていきたいです。

林航平(選科A)
社会人