実践+発信

ラジオ165:20091211

2009.12.11

 

知ってほしい 骨髄移植

セレンディピティ〜科学を変えた瞬間〜

エドワール・ベネディクトゥス「安全ガラスの誕生」

研究室に行ってみよう

北海道大学病院血液内科・杉田純一先生

コーステップインフォメーション

森博嗣(もりひろし)著、「森博嗣の半熟セミナ 博士、質問があります!」講談社

◆研究室に行ってみよう 〜知ってほしい 骨髄移植〜

今回は、ちょっといつもと趣向を変えて、北海道大学病院・血液内科の杉田純一医師に骨髄移植についてたずねました。担当は5期本科生の三原義広さんです。三原さんは献血や骨髄移植などに以前より非常に関心があったとのことで、今回の企画に至りました。

いつもの研究室に行ってみようとは少し雰囲気が違います。しかし医療問題、中でも移植医療は、科学と社会の接点にある大きな問題です。もちろんドナーと家族、医師の密なコミュニケーションが欠かせません。

杉田純一医師

忙しいに違いない医師の方の時間をとって、初歩的なことを聞くのは気が引けましたが、実際に杉田先生にお会いしてみると、若くて非常に気さくな先生でした。話も分かりやすく、患者さんにとっては理想的な先生だろうなあと勝手に想像してしまいました。

まずは骨髄とはどの部分なのか、造血幹細胞とはどういう機能をもった細胞なのか、その辺りの基礎的なことをお伺いしました。

骨髄とは、骨の中心部にある海綿状(スポンジ状)の造血組織です。赤血球、白血球、血小板が休むことなく、ここで作られているそうです。

骨髄は骨髄液で満たされていて、その中に血球のもとになる造血幹細胞があるそうです。

杉田先生に質問する5期生の三原義広さん

その後、移植手術をどのように進めるかといったテクニカルな話題から、実際に採取するときの痛そうなお話まで伺いました。

骨髄移植とは、病気に冒された造血幹細胞を、健康なものに置き換える治療法だそうです。多くは全身麻酔を使って行われます。

そして採取した細胞は、たいてい医師が運搬して、時には遠くまで飛行機に乗って持って行くこともあるそうです。とってから24時間以内に、室温のまま運ばないといけないということで、非常に緊張しそうな仕事だなと思いました。

白血球にもHLAという赤血球でいう血液型のようなタイプがあるそうで、これがあわないと、移植はできません。

両親から片方ずつ受け継ぐため、親とは完全には合いません。兄弟姉妹とは、4分の1の確率で一致します。

最後に杉田医師と記念写真

左は骨髄移植推進財団北海道地区代表の田村友子さん

それから、医療において大事なのは、社会的なサポートです。移植医療にはコーディネーターと調整医師の役割が欠かせません。

今回取材するにあたって、北大病院のすぐ近くにある骨髄移植財団北海道地区事務局で、田村友子代表に取材する機会をいただきました。

コーディネーターはドナー、調整委氏、地区事務局などの連絡調整をする役割です。

調整医師は、コーディネート中のドナーの適格性判定や採血、医学的質問への対応および説明を行います。

最後に杉田先生からのメッセージです。

「自分たち医師が骨髄バンクのドナーになってください、と直接的に勧めることはできません。

しかし、骨髄バンクやドナーの存在について、こうしたラジオ番組をきっかけとして、一度考える機会をもってほしいと思っています。

コーディネーターもついているので、よく分からないまま骨髄を取られる、なんてことは絶対無いので、安心してこの医療について、一度、考えてみてもらえたらうれしいです」

◆セレンディピティ〜科学を変えた瞬間〜

セレンディピティとは、「思わぬものを偶然に発見する能力」「幸運を招き寄せる力」という意味(広辞苑)。今回の担当は、ケロさんこと、5期生の毛呂さんです。

今回は安全ガラスの発明についてです。北海道では欠かせない二重ガラスも安全ガラスの一つ。真冬でも暖かく過ごせます。

こうした寒さや火事を防ぐガラスや、防弾ガラスの元になった、安全ガラスの発明にも、セレンディピティが隠されているんです。1903年のフランスに行って、その時の様子をのぞいてみましょう。

どんなお話になったかは、番組をぜひ聞いてくださいね!

今回は台本を箇条書きにして進行してみました