2023年2月5日(日)、北大生 ヒグマ座談会「ある日、まちの中、クマさんに出会った。 ヒグマに対する向き合い方と緑の管理について考える」を北海道大学 高等教育推進機構S講義棟S5教室にて開催しました。ゲストの愛甲哲也さん(北海道大学 大学院農学研究院 准教授)は、造園学という、自然公園の計画・管理・運営の研究に携わる研究者です。進行役は伊藤彩乃さん(CoSTEP 第18期対話の場創造実習受講生)が務めました。
住友裕一(2022年度 本科/社会人)
アイスブレイクでは、進行役の伊藤さんが「参加者の出身地」「札幌でヒグマを実際に見たことがある人はいるか」を質問して、参加者は〇✕の札を使って答えることで、参加しやすい雰囲気をつくりながら進めることができました。
ワーク①
Googleマップを使って北海道大学の周りや札幌市全体を見渡したり、今年1年間のヒグマの目撃情報をストリートビューで詳しく確認することで、山と近い市街地の辺りで、ヒグマがたくさん確認されていることがわかりました。
レクチャー①
ゲストの愛甲先生から札幌の都市計画の背景、歴史、特殊な点についてレクチャーしていただきました。
レクチャー②
対話の場創造実習受講生の橋本さんが本物のヒグマの毛皮を被って登場。進行役の伊藤さんから「立ち上がったヒグマは人間より大きい?小さい?」「ヒグマは肉食?」の問いかけに、参加者のみなさんが〇✕札で答えながらヒグマがどのような生き物かについて理解を深めていきました。
伊藤さんからゴミ対策、電気柵、草刈りといった有名な3つのヒグマ対策について説明があり、住民への説明が大切だとわかる事例も確認しました。
ワーク②
現在の札幌市では、草刈りがヒグマ対策の一環として進められています。参加する人が少ない、誰が行えばよいのか、まだまだ草刈りの活動が市民に広まっていない…など、様々な問題があります。
グループワークでは「草刈りのメリットとデメリット」「草刈りをするなら、どうしたらみんなが参加してくれるか」「草刈り以外だったら、どんな対策の方法がありそうか」についてそれぞれ付せんを使ってアイディアを出し合いました。
草刈りのメリット
Aグループ | Bグループ | Cグループ |
見通しが良くなる
釣りがしやすい 害虫が減る 誰でもできる |
景観保全に寄与する
スッキリする モニタリングが容易になる くまが隠れにくい 蚊等害虫の発生を抑える ゾーニング促進 景観が良くなる 見晴らし良くなり治安対策になる |
魚釣りがしやすい
見通しが良くなる 獣害対策になる 防犯につながる 花粉症に困らなくなる 草刈りは専門性なしで 手入れがしやすい 虫が減る |
草刈りのデメリット
Aグループ | Bグループ | Cグループ |
自然が減る
お金がかかる 生物多様性の保全 今までの生態系が崩れる 労力がかかる どこを刈るかなどマネジメントする人がいるか 草木のごみ 昆虫の住処 一個人で出来る?専用の機械とかもいる 管理を維持する必要がある 誰がやるか?責任の所在 |
作業に燃料代がかかる
野生生物の生息場所が失われる ヒグマがかえって来やすくなる 風が強くなる 労力がかかる 労働力確保が困難 景観が変わる 鳥が減る 騒音対策が必要 自然環境が無くなる(人工的になる) 虫が減る 害虫や住処を失った生物の出現 生活の潤いが減る |
鳥がいなくなる
自然が減る 公園緑地をつくること 草を刈ってもすぐ生 植生が単一化する 子どもが河川に近づ 景観が悪くなる 堤防が崩れやすくなる |
草刈り参加者を集めるアイデア
Aグループ | Bグループ | Cグループ |
釣り人にやってもらう
なんかもらえる 楽しくしたい 小学校のプログラム Youtuberを呼ぶ 地域対抗戦にする 動画を撮る 草刈りアート 草刈りの仕組みをしっかり作る |
くまが出てきたという想定の訓練をする
地域の回覧板で回す 新聞で取り上げる お金をあげる その土地を利用したい人々に声がけする プレゼント用意 交通費支給 草刈りの重要性を教える 休日に行う 草刈り休暇をつくる 運動の一環として健康と掛け合わせる 地域の小学生とかの教育イベ 地域の行事として半ば強制的 告知がんばる(SNS,地下歩行空間) 学校行事にする 草刈り機械のメーカーさんの 芸能人を呼ぶ 大学の授業で実施する |
賃金を支払う
大学生の朝バイトにする 実習にして単位を出す 刈った草に付加価値を付けて特産品にする 草を肥料にする 参加した人に地域のクーポンをあげる 朝食付き草刈り 旅行客にやらせる 刈った草は牛のえさになるのでは 小学生の授業の一環 虫、植物の観察付き授業にする ひとにやらせずヤギや羊にやらせる(食べさせる) 空き地を作ってジンパのできる場所にする 地域で交流の場にする 草刈り>その草で羊を飼う> くまハザードマップ的なものを作る |
草刈り以外のヒグマ対策のアイデア
Aグループ | Bグループ | Cグループ |
ごみ対策
唐辛子農家を辺縁部に誘致する 電気柵 放棄家屋などの法整備 ヒグマの数を減らす 緊急ヒグマ速報 ヒグマが出た時の連絡先を広める 空き家の整備 くま鈴をみんな持つ 山のえさを増やす 人里を警戒させる リンゴに下剤を混ぜ、ネガテ |
すべてのくまにGPS,テレメト リー付け、いる場所を市民に 連絡 すべてのくまに名前を 山に餌を報復に用意する 市街地の周辺にすごい大きな くまが嫌いな作物を植える 街の周辺、市街化調整区域と アンドロイドロボで追い払う ドローンで追い払う くまがいても当たり前という 殺さない程度の毒餌をまく ごみ箱を完備、ごみ捨ての教育 トウモロコシ栽培の場合電気 山の実りを増やす工夫 電気柵 |
市街地の近くのくまを物理的 に減らす 良く出没する個体に緊箍児 歌いながら歩く(そのための 山に行くときは歌を唄うを文 くまキート音 森に餌をまく 豊作凶作のないどんぐりの品 くま認識カメラで警報を出す くま警報 くまのことを知ってもらうイ 目指せコンパクトシティー ひとをゾーニングしちゃえ |
今回のイベントで、ヒグマとまちづくりについて、自分ごととして捉えるきっかけになっていただけたらとてもうれしいです!本日の参加を機会に札幌だけでなく、ご自身の出身地の自然や野生動物について、思いを巡らせてみてください!ご参加いただいたみなさん、イベントのお手伝いしていただいたみなさん、そして愛甲さん、ありがとうございました!
対話の場の創造実習:伊藤彩乃、大関萌、高塚慧、住友裕一、橋本政士