実践+発信

北大生ヒグマ座談会「ある日、まちの中、クマさんに出会ったヒグマ対する向き合い方と緑の管理について考える~」を開催しました

2023.2.13

2023年2月5日(日)、北大生 ヒグマ座談会「ある日、まちの中、クマさんに出会った。 ヒグマに対する向き合い方と緑の管理について考える」を北海道大学 高等教育推進機構S講義棟S5教室にて開催しました。ゲストの愛甲哲也さん(北海道大学 大学院農学研究院 准教授)は、造園学という、自然公園の計画・管理・運営の研究に携わる研究者です。進行役は伊藤彩乃さん(CoSTEP 第18期対話の場創造実習受講生)が務めました。

住友裕一(2022年度 本科/社会人)

(鹿児島県出身の愛甲哲也さんは、2008年より北海道大学で造園学、特に公園の計画・管理、自然保護地域におけるレクリエーション利用のモニタリングとその管理、地域や市民との協働による自然公園、都市公園の管理のあり方、子どもの外遊び環境などについて研究しています。)
(今回のヒグマ座談会には10名の北大生にご参加いただきました。)

アイスブレイクでは、進行役の伊藤さんが「参加者の出身地」「札幌でヒグマを実際に見たことがある人はいるか」を質問して、参加者は〇✕の札を使って答えることで、参加しやすい雰囲気をつくりながら進めることができました。

(参加者の出身地を〇✕の札で答えてもらっています。札幌市出身の人、意外と少ない。)
ワーク①

Googleマップを使って北海道大学の周りや札幌市全体を見渡したり、今年1年間のヒグマの目撃情報をストリートビューで詳しく確認することで、山と近い市街地の辺りで、ヒグマがたくさん確認されていることがわかりました。

(Googleマップを使って北海道大学の周りの地図を確認しています。「こちらが北大です。」)
(司会の伊藤さんの説明に合わせて、対話の場創造実習受講生の大関さんが地図を動かしています。)
(藻岩山あたりでもヒグマが出没していることがわかりますね!)
(クマの出没地点あたりをストリートビューで見ています。)
レクチャー①

ゲストの愛甲先生から札幌の都市計画の背景、歴史、特殊な点についてレクチャーしていただきました。

(緑の部分は森林でクマや野生動物が出てきてもおかしくない場所です。)
(都市部でも人口の減少により、人の住んでいない空き家ができ人口の分布がスポンジ化してきていることがわかります。)
(コンパクトシティの計画についてお話ししています。)
(ヒグマの出そうな場所について説明しているところです。)
レクチャー②

対話の場創造実習受講生の橋本さんが本物のヒグマの毛皮を被って登場。進行役の伊藤さんから「立ち上がったヒグマは人間より大きい?小さい?」「ヒグマは肉食?」の問いかけに、参加者のみなさんが〇✕札で答えながらヒグマがどのような生き物かについて理解を深めていきました。

(ここで、突然のヒグマ登場です。)
(橋本さんがヒグマの本物の毛皮を被っての登場でした。)

伊藤さんからゴミ対策、電気柵、草刈りといった有名な3つのヒグマ対策について説明があり、住民への説明が大切だとわかる事例も確認しました。

ワーク②

現在の札幌市では、草刈りがヒグマ対策の一環として進められています。参加する人が少ない、誰が行えばよいのか、まだまだ草刈りの活動が市民に広まっていない…など、様々な問題があります。
グループワークでは「草刈りのメリットとデメリット」「草刈りをするなら、どうしたらみんなが参加してくれるか」「草刈り以外だったら、どんな対策の方法がありそうか」についてそれぞれ付せんを使ってアイディアを出し合いました。

(Aグループの様子です。対話の場創造実習受講生の高塚さんがファシリテーターを務めました。活発な議論が交わされています。)
(Bグループの様子です。対話の場創造実習受講生の住友さんが議論を促しています。ゲストの愛甲さん、CoSTEPスタッフの福浦さん、進行役の伊藤さんが暖かく見守っています。)
(Cグループの様子です。対話の場創造実習受講生の橋本さんがファシリテーターを務めました。面白いアイデアが続々と出ていますね!)
(A~Cグループの草刈りのメリットを掲示しています。)
草刈りのメリット
Aグループ Bグループ Cグループ
見通しが良くなる

釣りがしやすい

害虫が減る

誰でもできる

景観保全に寄与する

スッキリする

モニタリングが容易になる

くまが隠れにくい

蚊等害虫の発生を抑える

ゾーニング促進

景観が良くなる

見晴らし良くなり治安対策になる

魚釣りがしやすい

見通しが良くなる

獣害対策になる

防犯につながる

花粉症に困らなくなる

草刈りは専門性なしで
だれでも実行できる

手入れがしやすい

虫が減る

(A~Cグループの草刈りのデメリットを掲示しています。)
草刈りのデメリット
Aグループ Bグループ Cグループ
自然が減る

お金がかかる

生物多様性の保全

今までの生態系が崩れる

労力がかかる

どこを刈るかなどマネジメントする人がいるか

草木のごみ

昆虫の住処

一個人で出来る?専用の機械とかもいる

管理を維持する必要がある

誰がやるか?責任の所在

作業に燃料代がかかる

野生生物の生息場所が失われる

ヒグマがかえって来やすくなる

風が強くなる

労力がかかる

労働力確保が困難

景観が変わる

鳥が減る

騒音対策が必要

自然環境が無くなる(人工的になる)

虫が減る

害虫や住処を失った生物の出現

生活の潤いが減る

鳥がいなくなる

自然が減る

公園緑地をつくること
に疑問が生じる

草を刈ってもすぐ生
えてくる

植生が単一化する

子どもが河川に近づ
きやすくなり落ちる

景観が悪くなる

堤防が崩れやすくなる

(A~Cグループの草刈り参加者を集めるアイデアを掲示しています。)
草刈り参加者を集めるアイデア
Aグループ Bグループ Cグループ
釣り人にやってもらう

なんかもらえる

楽しくしたい

小学校のプログラム

Youtuberを呼ぶ

地域対抗戦にする

動画を撮る

草刈りアート

草刈りの仕組みをしっかり作る

くまが出てきたという想定の訓練をする

地域の回覧板で回す

新聞で取り上げる

お金をあげる

その土地を利用したい人々に声がけする

プレゼント用意

交通費支給

草刈りの重要性を教える

休日に行う

草刈り休暇をつくる

運動の一環として健康と掛け合わせる

地域の小学生とかの教育イベ
ントにする(保護者も参加)

地域の行事として半ば強制的
に農作業する人にお願いする

告知がんばる(SNS,地下歩行空間)

学校行事にする

草刈り機械のメーカーさんの
デモとコラボする

芸能人を呼ぶ

大学の授業で実施する

賃金を支払う

大学生の朝バイトにする

実習にして単位を出す

刈った草に付加価値を付けて特産品にする

草を肥料にする

参加した人に地域のクーポンをあげる

朝食付き草刈り

旅行客にやらせる

刈った草は牛のえさになるのでは

小学生の授業の一環

虫、植物の観察付き授業にする

ひとにやらせずヤギや羊にやらせる(食べさせる)

空き地を作ってジンパのできる場所にする

地域で交流の場にする

草刈り>その草で羊を飼う>
ジンパ>踏み固められる>草
を刈る、で循環社会ができる

くまハザードマップ的なものを作る

(A~Cグループの草刈り以外のヒグマ対策のアイデアを掲示しています。)
草刈り以外のヒグマ対策のアイデア
Aグループ Bグループ Cグループ
ごみ対策

唐辛子農家を辺縁部に誘致する

電気柵

放棄家屋などの法整備

ヒグマの数を減らす

緊急ヒグマ速報

ヒグマが出た時の連絡先を広める

空き家の整備

くま鈴をみんな持つ

山のえさを増やす

人里を警戒させる

リンゴに下剤を混ぜ、ネガテ
ィブ体験を学習させる

すべてのくまにGPS,テレメト
リー付け、いる場所を市民に
連絡

すべてのくまに名前を
付ける

山に餌を報復に用意する

市街地の周辺にすごい大きな
音のチャイムを設置する

くまが嫌いな作物を植える
(カプサイシンが成分の実とか)

街の周辺、市街化調整区域と
かでは捕獲していく

アンドロイドロボで追い払う

ドローンで追い払う

くまがいても当たり前という
住民意識を醸成する

殺さない程度の毒餌をまく
(町の近くへの嫌悪を植え付ける)

ごみ箱を完備、ごみ捨ての教育

トウモロコシ栽培の場合電気
柵を必須にする

山の実りを増やす工夫

電気柵

市街地の近くのくまを物理的
に減らす

良く出没する個体に緊箍児
(きんこじ・孫悟空の頭飾り)を付ける(懲罰系)

歌いながら歩く(そのための
市民歌をつくる)

山に行くときは歌を唄うを文
化・習慣にする

くまキート音

森に餌をまく

豊作凶作のないどんぐりの品
種をつくる

くま認識カメラで警報を出す

くま警報

くまのことを知ってもらうイ
ベントをする

目指せコンパクトシティー

ひとをゾーニングしちゃえ

(どのグループワークもたくさんのアイデアが出ました。)
(イベント終了後、自分がいいなと思ったアイデアに花丸シールを貼ってもらっています。)
(教室後方のヒグマのトランクキットの展示コーナーもとても好評でした。)
(CoSTEPスタッフの池田さんがクマの足跡からクマの動きのイメージを再現しています。)

今回のイベントで、ヒグマとまちづくりについて、自分ごととして捉えるきっかけになっていただけたらとてもうれしいです!本日の参加を機会に札幌だけでなく、ご自身の出身地の自然や野生動物について、思いを巡らせてみてください!ご参加いただいたみなさん、イベントのお手伝いしていただいたみなさん、そして愛甲さん、ありがとうございました!

対話の場の創造実習:伊藤彩乃、大関萌、高塚慧、住友裕一、橋本政士