実践+発信

35回三省堂サイエンスカフェin札幌 CoSTEPシリーズ19「血管研究の先に見えるもの」を開催しました

2024.4.2

2024年3月6日、18:30~19:30まで、三省堂書店札幌店内 ブックス&カフェ UCC (JRタワー札幌ステラプレイス5F)にて第35回三省堂サイエンスカフェin札幌 CoSTEPシリーズ19「血管研究の先に見えるもの」を開催しました。少人数でコーヒーを片手に、書店のスペースで科学について話し合う、サイエンスカフェにぴったりな13人のお客さんと一緒にお話したのは、樋田 京子(北海道大学大学院歯学研究院 教授/日本学術会議第二部会員)さんです。聞き手はCoSTEPの朴炫貞が務めました。

樋田さんの自己紹介から、カフェは始まりました。樋田さんが血管研究を始めたきっかけは、双子と一緒にアメリカ・ハーバード大学に留学に行ったことだったとのことでした。子育てをしながら研究を両立するため、その時までやっていた臨床研究を活かして、夫婦で同じ研究室で研究を始めました。

体の隅々まで血液を運ぶ血管を通して、1分間に約5Lの血液が全身に回っているそうです。血管と病気との密接な関係や、人の老いと血管との関係、血管の構造や老化の仕組みについての話がありました。

その中、樋田さんが長年研究している血管研究の中で「血管新生」についての話がありました。血管新生は、既存の血管から新たに血管が作られることです。がん治療のパラダイムシフトが起きたのは1971年。血管新生がおこらなければ,がんは2〜3mm以上大きくならないし,転移もしないことから、がんは血管から一定距離離れると生存できないため、VEGF抗体(血管新生阻害剤)の作用を通して血管新生を阻害することができました。

続いて、腫瘍血管の異常性や、がんの転移の新しいメカニズムの発見、腫瘍血管内皮細胞を標的とした副作用の少ない血管新生阻害剤の開発を含む新しいがんの治療薬の開発にむけてに研究内容を紹介していただきました。

最後のパート「新型コロナ感染症と血管」では、今まで研究してきた肺の組織像が、ヒトCOVID-19 死亡例の肺の所見に類似していることから、新型コロナ感染症の研究に携わったことの話が続きました。最先端の研究紹介だけでなく、励んできた研究がさらなる研究の道を切り開いてくれること、そのことで研究が広く深く展開されていく研究者像も見られてことが印象に残りました。

熱い話題提供から、質疑が続きました。最後に「血管を正常に、健康に保つことが重要」と伝えたメッセージを受け、健康な血管を保つ方法や若返る研究についての質問から、医学研究院の大学院生からの専門的な質問まで、多くの質問から樋田さんの研究についての興味を読み解くことができました。


入場料には飲み物・お菓子付き。少人数で話し合えるサイエンスカフェになっていました。

カフェのはじめにあった渡辺雅彦さん(医学研究院 特任教授)は、サイエンスカフェという場の大事さについて話していただきました。研究を伝え、市民と実際に話し合う場が、感染症の時代やオンラインが進んでいる今である意味について強調されました。まさに今回の三省堂カフェは、最先端の科学研究について、研究者と市民が話し合える場になったと思います。

アンケートの結果も、CoSTEPのウェブや知人から聞いて参加した人が多く、内容が多かったという意見から、最先端の研究について知る機会になってよかったという意見まで、幅広い意見がありました。


左から聞き手の朴、ゲストの樋田さん、学術会議の渡辺さん。

カフェにお越しいただいたみなさん、ゲストのみなさん、ありがとうございました!