実践+発信

博物館から広がった実践の

2025.3.21

木元 友理香/2024年度 本科 対話の場の創造実習
北海道大学 大学院工学院 環境循環システム専攻 1年


サイエンス・カフェで司会役をする筆者

私はもともと博物館での教育普及活動に興味があり、北大のミュージアムマイスターコースで総合博物館での展示解説などを行っていました。そういった活動が好きで楽しかったので、もっと実践の場を増やしたいと思ったのがCoSTEPに入ったきっかけです。そのため、本科の中でも対話の場の創造実習を選びました。

実習では1年を通して2つのイベントの企画・運営を行いました。その1つが、3月に行った展示会「科学をあるく〜原子力からみる科学のつながり〜」です。このイベントは対話班全員の12人で行ったということもあり、意見をまとめて、1つ1つのことを決めるのが難しかったのが印象的です。またテーマから自分たちで決めた1回目とは違い、今回は「被曝」というテーマを最初に与えられて、その表現の仕方は自由でした。実は展示会をやることに決まったのは1月に入ってからだったというあたりから、私たちがかなり苦戦していたことを察していただけるかと思います。展示の準備では、自分の得意不得意を嫌というほど実感させられて、そしてそれを補ってくれる他の受講生に感謝してばかりでした。例えば、私はこういうことを伝える展示にしたい、そのためにこの手法を使いたい、というところまでは考えられても、それを実際にデザインしたり、他の人に仕事を割り振ったり、ということは苦手で上手くできませんでした。それで行き詰まっていると、他の受講生がじゃあこういうデザインはどう?と提案してくれて、私これやるね、と率先して仕事を見つけてくれるなど、そういった行動1つひとつにとても助けられました。そうして実現した展示会では、自分の伝えたかったことが予想以上にしっかり伝わっていると感じる場面が多く嬉しかったです。

「科学をあるく〜原子力からみる科学のつながり〜」を作り上げた対話の場創造実習のメンバー

CoSTEPに入ってよかったことは、他の受講生や先生との出会いが大きいと思います。同じサイエンスコミュニケーションをしたいという志で集まった仲間だけれど、その動機や目指すものもそれぞれ違って、新鮮な考え方に影響を受けることも多くありました。先生たちは私たちの意見を決して否定せず尊重してくれて、少しでも良いものになるようにいつもアドバイスをくださりました。夜遅くや休日も、そして修了式が終わった後に展示会をやることが決まった時も、嫌な顔ひとつせず根気よく付き合ってくださって本当に感謝しています。

CoSTEPは始まる前に予想していた倍以上は忙しく、特に研究や就活との両立は大変でした。ただ間違いなく自分の視野は広がったし、このタイミングで受けてよかったと今は思います。もし今受講を考えていて時期で悩んでいる人がいたら、すぐに踏み出して欲しいと思います。この体験記が誰かの背中を押すことができていたら嬉しいです。


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