齋藤 隼輝/2024年度 選科B(サイエンスライティング)
東北大学工学研究科 量子エネルギー工学専攻 博士1年
受講動機 ~ わたしがCoSTEPを受講したいと思ったきっかけ ~私は現在、東北大学大学院で金属材料の研究に取り組んでいます。この受講記では私のCoSTEP受講のきっかけと実際に受講して感じた魅力を紹介します。
きっかけ1 : 地元への貢献
私は福島県の出身であり、小学生のときに福島第一原発の事故を経験しました。福島では、原発事故の後、風評被害や賠償がもたらす対立など、様々な問題が生まれ、未だ解決されない問題も残っています。更に最近では、メガソーラー開発をめぐる論争も起きており、科学技術やそのリスクによって、様々な論争や対立が起きてきました。身近で起こるこれらの問題の解決に対し自分が貢献できることを考えた結果、行政や国、地元の人々など、異なる立場の人々を繋ぐことが必要であると考え、その役割を果たすことのできる科学技術コミュニケーターに興味がわきました。
きっかけ2 : 大学の研究室での出会い
上記のようなことを考えていたところ、私は大学の研究室でCoSTEPの存在を知りました。実は私の所属する東北大学金属材料研究所 笠田研究室は教授の笠田先生を含め過去のCoSTEP修了生が数人在籍しています。笠田先生や他のCoSTEP修了生の話を聴き、科学技術コミュニケーションを学ぶことは前述のモチベーションに加え、自分の研究を他人に伝える能力の向上にもつながると考え、受講を決意しました。
実際に受講してみて ~ CoSTEPのここが面白い! ~
ここからは、私がCoSTEPを受講して感じた『ここが面白い!』ポイントを紹介します。
- 科学技術コミュニケーションの最前線にいる先生方の講義を聴くことができること講義では、市民と行政の対話の場でファシリテーションに取り組む先生や、書店を使った科学技術コミュニケーションの場の創造に取り組む先生など、多種多様な形で科学技術コミュニケーションを実践されている先生方のお話を聴くことができました。先生方のお話を通して、科学技術コミュニケーションの実践の在り方の多様性を知ることができました。また、どの先生も共通して相手への思いやりや相手との信頼関係の構築の重要性について語っており、科学技術コミュニケーションに限らないコミュニケーションにおける本質を学ぶことができました。
- 科学技術コミュニケーションの実践の難しさと面白さが体験できること「科学技術コミュニケーションを学ぶには自分で調べ、実践することが必要」です。そこで私たち選科Bは、『高校生向けに科学技術コミュニケーターの役割を紹介する記事を書く』という実践をしました。読者に自分自身のメッセージが伝わるよう、高校生についてリサーチし、伝わりやすい言葉遣いや論理構成となるよう、同じ選科Bの受講生と記事を読み合いながら文章をリファインしていきました。自分の苦手な、読者を意識した文章を書くことに挑戦し、その難しさを感じると同時に、先生方や他の受講者の人たちと協力しながら良い文章を作る面白さを感じました。より相手に伝わる科学技術コミュニケーションのためには、自分一人だけでなく自分の作るコンテンツを批評してくれる存在との協力が必要不可欠であることを学ぶことができ、有意義な時間を過ごすことができました。


終わりに
この受講記では私が感じたCoSTEPと科学技術コミュニケーションの魅力を紹介しましたが、あなたにしか感じられない魅力もきっとあります。科学技術コミュニケーションに興味を持ってくれたそこのあなた、CoSTEPの門をたたき、ぜひその面白さを味わってください!