実践+発信

アート×科学×さかなで社会を探究する「あかさかな」2回目のプログラムを実施しました

2026.11.5

北海道大学CoSTEPと札幌文化芸術交流センター SCARTSは、若い世代がアートの創造性と科学的な探究に触れ、世界をひろげる学びの場をつくる「アート&サイエンスプロジェクト」を進めています。
その一環として、札幌市教育委員会と共同で、市立高等学校学校間連携プログラム「あかさかな」を実施しています。本プログラムは、札幌市立高等学校の学校間連携による単位認定プログラムとして、全5回で構成されています。

11月3日(火・文化の日)、2回目のプログラム「現場・研究者の視点」を北海道大学エンレイソウで実施しました。

現場から見つめる北海道の水産業

午前は、札幌市中央卸売市場で水産仲卸から飲食店まで携わる一鱗共同水産株式会社の本間雅広さんと、北見の漁師でマスコスモ代表の柏谷晃一さんが講師を勤めます。
お二人は、北海道の水産業を盛り上げ、次世代に豊かな海と魚を残す「DO FOR FISH」の活動に取り組んでいます。
温暖化による魚種の変化、漁師の担い手不足、漁獲量の規定をめぐる現場の実感。北海道の水産業が抱える課題を現場の声から学びました。また、北海道は日本一の水揚げ量を誇る一方、道内の魚介類消費量は全国平均を下回る傾向にあることから、食育にも積極的に取り組まれているそうです。

お話の後は、柏谷さんの会社が開発したホタテスープを試食。ホタテのヒモなど、商品化の際に廃棄される部分を活用した一品です!会場にはホタテの豊かな香りが広がりました。

ゲームで考える北極の未来

午後は北海道大学函館キャンパスから海洋物理学を専門とし、北極圏の研究を行う上野洋路さんからの話題提供です。まずは、ArCS(北極域研究推進プロジェクト)で開発された北極ボードゲーム「The Arctic」では、プレイヤーが研究者、先住民、開発業者、漁業者など、北極に関わるさまざまな立場になり、次々に起こる課題に向き合います。

参加者の山下昊大さんと中島想羽さん(開成高校5年)がインストラクターを務め、各グループのゲームをリードしました。「環境、経済、文化、予算、全てのバランスを保つということは難しかった」「役割になりきることで、それぞれの立場が求めるものを客観的に考えられた」。体験後には、そんな感想が寄せられました。

続いて上野さんから、北極海の現状についてお話しいただきました。2012年に夏の海氷面積が観測史上最小を記録して以降も、減少傾向は続いています。
練習船「おしょろ丸」による調査も紹介され、海洋観測だけでなく、先住民の歴史や開発など、人文科学的な視点から北極を捉える重要性も語られました。

現場と研究から未来を考える

最後は、現場と研究の視点を交えたクロストークと質疑応答です。
自然環境の課題を未来へ向けて発信すること。食文化を守るために、養殖や技術をどう生かすか。環境への意識をどう高めるか。さまざまな視点から意見が交わされました。
現場と研究、それぞれの最前線に立つ3人の話から、参加者は水産業や北極の課題を自分たちの暮らしと結びつけて考える機会を得ました。


次回
12月22日(火)、「アーティストの視点②」を実施します。
講師には、ドキュメンタリー映画監督・坂本麻人さんを迎え、最新作『サクラマスのワルツ』試写会・アフタートークを行います。