実践+発信

質問に答えていただきました「知ることから始めよう あなたの家の下が活断層だったら!?」

2014.3.1

「知ることから始めよう あなたの家の下が活断層だったら!?」 質問カードへの回答

 1月26日(日)に開催された「知ることから始めよう あなたの家の下が活断層だったら!?」では、参加者の皆さまから、たくさんの質問をいただきました。

(イベントのレポートはこちら:http://costep.open-ed.hokudai.ac.jp/costep/contents/article/771/)

時間の関係から、当日のイベントの中ではお答えできなかった質問を中心に、講師の大浦宏照さんとスペシャルゲストの田近淳さんに回答していただきました。

なお、内容が重複するご質問などについては、掲載されていない場合があります。また、質問文の一部を掲載用に書き換えている場合があります。ご了承ください。

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 [質問]

「大きな川は活断層のあるところに流れているという人がいるのですが、本当でしょうか」

[答え]

 断層の周辺は、地層がもろくなっているために浸食を受けやすいという特徴があります。このため断層に沿って川が流れている場合があります。

ただし川から遠く離れた場所に活断層がある事例もたくさんあります。

[質問]

「中央構造線と地震との関係を教えてください」

[答え]

 中央構造線とは、九州北部から四国、紀伊半島、北関東と日本を東西に横切る、わが国でも最も大規模な断層です。これまでの調査で、この一部が地震を引き起こす活断層であるとされています。

 中央構造線はいくつかの断層に細分されますが、これらが活動するとマグニチュード7〜8程度の地震が発生すると想定されています。

 ※ 赤い線が中央構造線(Wikipedia「中央構造線」の項目より引用)

[質問]

「飲食物以外に地震に備えて準備しておいたほうがよいものは何ですか」

[答え]

 地震に対する備えについては、札幌市のHPなどが参考になります。

 北海道の場合、積雪寒冷地であることから寒さに備え、防寒着やカイロなども役立ちます。

 また避難所では一般的な食料や水、毛布などは準備できますが、処方薬・入れ歯・眼鏡といった一人一人の個性に合わせる必要のあるものは準備できません。いざというときに持ち出せるようにしておくといいでしょう。

http://www.city.sapporo.jp/kikikanri/higoro/iza/iza_index.html

[質問]

「『月寒断層』という断層があるとききますが、その断層が活動する確率はどのくらいでしょうか」

[答え]

 正確には、「月寒断層」と命名された断層はありません。

札幌市の地下には「月寒背斜」という、地震を起こす可能性がある地質構造が確認されています。月寒周辺では、軟らかい地層が厚さ2000m以上も積もっているために、過去の活動の痕跡を調べることが大変困難です。このため、ほかの活断層のように、活動する確率についてはよくわかっていません。

 いつかは地震が起きるものとして準備しておくことが大切です。

[質問]

「日本の活断層と海外の活断層には違いがあるのですか」

[答え]

 ごく大まかに言うと、日本のようにプレートが沈み込むような場所には「逆断層」が多く、アフリカ大陸東部にはマントルの上昇に伴い「正断層」が集中する「地溝帯」があります。アメリカのカリフォルニア州沿岸部には、「横ずれ断層」が集中しています。

 

※ 横に平行に並んでいるのが「スライドビーム(横滑り用のレール)」

アラスカにおける横ずれ断層の対策例(原子力規制委員会資料より)

[質問]

「都市圏活断層図はどのように活用したらいいのでしょうか」

[答え]

 都市圏活断層図とは、国土地理院が発表している活断層の位置を示した地図です。この地図には、これまでの調査で明らかになった活断層の一部が記載されています。

 さまざまな活用方法があると思われますが、地域にある災害因子の一つとして考えることが大切です。むやみに怖がるのではなく、その活断層がどのような地震を引き起こす可能性があるのか、その地震によりどのような災害が起きそうなのか、そのような災害に対して何ができるのかを考えてみることが必要でしょう。

http://www.gsi.go.jp/bousaichiri/active_fault.html

 [質問]

「活断層ができやすい土地というのはありますか」

[答え]

 定まった学説はありませんが、私見を申せば活断層ができやすい土地というのはないと思います。ただ地殻に作用する力のバランスなどから、比較的活断層や火山活動が起きにくい場所があると提示している研究者がいることは事実です。

[質問]

「日本の周辺では地殻が沈み込んでいるそうですが、浮き上がっている場所はないのでしょうか」

[答え]

 「海嶺」が質問の場所に相当します。マントルの対流により、地殻が新たにつくられている場所です。アフリカ沖の大西洋中央海嶺などが有名です。

        海嶺の構造  (Wikipedia「海嶺」の項目より引用)

        大西洋中央海嶺   (Wikipedia「大西洋中央海嶺」の項目より引用)

[質問]

「スマトラ沖地震と太平洋海嶺の関係について教えてください」

[答え]

 2004年に起きたスマトラ沖地震は大規模な津波を引き起こしました。スマトラ島の南西では、オーストラリアプレートがユーラシアプレートの下に潜り込んでおり、このプレート境界で地震が発生しました。潜り込んでいるオーストラリアプレートは、南極海嶺などが起源ですので、太平洋海嶺とは直接は関係がありません。

 

2004年スマトラ島沖地震の震源域と海嶺との関係

(Wikipedia「プレートテクトニクス」の項目より引用)

[質問]

「活断層の真上の建物と、真上ではなく少しずれた所にある建物では危険度に違いはあるのですか」

[答え]

 活断層の真上では、断層活動による地面のズレが生じることがあり、このズレによって建物が破壊される危険があります。断層による地震のユレは、より広い範囲で発生するため、真上ではなくてもユレによる被害が起こります。

[質問]

「世界に地震のない国はあるのですか」

[答え]

 地震の多くはプレートの境界で発生します。このため、北アメリカ大陸北東部、グリーンランド、ユーラシア大陸北西部などはほとんど地震がありません。

 

世界の地震分布

(気象庁のウェブページ「地震と火山」より))

[質問]

「断層にはA,B,Cとの区分があると聞いていますが、その基準は何によって分かれているのですか」

[答え]

活断層の活動度は、1000年あたりの平均的なずれの量を基準にして、A〜Cにランク分けされています。それぞれは次のように定義されます。

活動度A級の活断層は、1000年あたりの平均的なずれの量が1 m以上10m未満

活動度B級の活断層は、1000年あたりの平均的なずれの量が10cm以上1 m未満

活動度C級の活断層は、1000年あたりの平均的なずれの量が1 cm以上10cm未満

[質問]

「原発構内での活断層の調査結果で、規制委員会と事業者側との判断が異なることが多々ありますが、活断層の明確な判断基準がないのでしょうか」

[答え]

 原子力規制員会では活断層の定義を、「将来活動する可能性のある断層等は、後期更新世(約12〜13万年前)以降の活動が否定できないものとし、必要な場合は、中期更新世(約40万年前)以降まで遡って活動性を評価することを要求」として公表しています。

 一方事業者側は……

 得られたデータの解釈や調査の範囲に関する見解の相違が、異なる判断となる理由の一つと思われます。

[質問]

「月寒背斜は開く方向に活動しているのですか」

「札幌市で想定されている断層は、正断層ですが逆断層ですか」

[答え]

 逆断層(閉じる方向)を想定しています。

[質問]

「札幌の地下構造では定山渓層群を地震基盤と説明され、背斜があるように表現されていますが、先第三紀層(中生代)にも背斜がありますか」

[答え]

 背斜構造の一般的な性質からすると、先第三紀層にも同様の構造があると考えられます。ただし地下深部のことなので、十分な情報がありません。

[質問]

「活断層がどのくらい前に活動したかは、どうやって推定するのですか」

[答え]

 活断層の活動年代は、

・文献調査(地震が起きた時期が記載されている)

・地層の年代測定

・火山灰など時代がわかっている堆積物から推定

等の方法を組み合わせて推定しています。

[質問]

「札幌市地震防災マップは活断層の影響を反映していますか」

[答え]

札幌市の地震被害想定は、地表面で確認されている活断層と、地下に見つかった断層らしき構造(背斜構造)の両方を考えて、最も大きな揺れを与える地震を想定しています。

[質問]

「札幌市内で地盤が弱いのは何区ですか」

[答え]

 地盤の弱さにもさまざまなものがあります。平らな土地には液状化が想定されるような砂層が分布しますし、泥炭や粘土は地盤沈下が想定されます。山岳・丘陵地帯では、がけ崩れや地すべりも発生します。

 災害にはさまざまな様態があるので、それぞれの地域のもつ特徴を知って備えることが大切です。

[質問]

「札幌や江別の下に活断層はありますか」

[答え]

 札幌市内には5本の「背斜」と呼ばれる、活断層が作ったと考えられる構造が確認されています。これらの活断層が動くと想定される面(断層面)は、札幌市のほぼ全域を覆っています。つまり札幌市はどの地域も活断層の影響を受ける可能性があります。

 江別市の西側には「野幌背斜」と呼ばれる構造が見つかっており、これが動くと大きな影響を受けることが懸念されます。

 なお、札幌や江別の地下には柔らかい地層が2000m以上の厚さで積もっており、これらの構造が地震を引き起こしても、活断層により地面がズレる可能性は低いでしょう。

 札幌市は、これらの背斜が動いた場合を考えて、地震被害想定を行っています。