実践+発信

「世の中」向き合う

2010.4.7

「自分が世の中に向けて言わなければならないことは何だろう。」 リテラポプリ39号の取材中に、テレビ局ディレクターの藤村忠寿さんが言われた一言です。これをキッカケに私は人生観を見つめ直すようになりました。 CoSTEPの講義の中で、トランス・サイエンスや理科教育の現状について問題提起をされ、みんなで議論をして行くプロセスを大切にしながら物事を決めていく民主主義の新しいスタイルについてレクチャーを受けました。その中で、私は世の中のあり方について考えるようになりました。 2009年という時代もその思いに駆り立てる背景をもっていました。事業仕分けや裁判員制度などに象徴されるように、みんなの前で大いに議論することや市民自らが判断することを社会として求めるシステムが導入される節目でもありました。 そんなある日、ある教員が「すごい人がすごいことをやって世の中を変えていく時代は終わって、フツーの人がフツーのことをしていくと世の中が変わっていく時代が来ているように思います」とコメントをして、自分が世の中のためにできることは何かを考え始めた頃に、藤村さんの一言に巡り会いました。 それまでのCoSTEPでの学びがなければ、この一言に衝撃を受けることはなかったでしょう。それまでの学びがあったから、あの一言の「自分」と「世の中」という視点に衝撃を受け、同じことを考えている人がいることに感動ができたように思います。 人と向き合うために、分かり合うために何をするのか、何を伝えるのか。学んだこと以上に、これから自分の生き方そのものと向き合う機会を与えてくれた1年でした。

本宮 大輔
北海道大学大学院工学研究科 技術職員