私が北大にやってきたのは、CoSTEPで科学技術コミュニケーションを学ぶためです。CoSTEPを受講する前は、私にとっての「科学技術コミュニケーションは本の中だけの言葉であり、実際に体験したことはほとんどなく、漠然としたものでした。CoSTEPでの約1年間の授業や実習を受けて、科学技術コミュニケーションが、日本においてまだまだ確立されていない分野であるということを実感しました。しかしそれは、今後の発展のしかた次第で文系でも理系でもない、新たな分野として確立する可能性があるのだと強く感じることができました。
科学技術コミュニケーションを、新たな分野として確立するためには、約1年間学んだだけでは何も変わりません。しかし、CoSTEPで学んだことを足場として今後さらに発展させることはできる。むしろ、科学技術コミュニケーションという新たな分野を作り出すのは自分たちなのだ、という自覚を得られたことが、CoSTEPで学んだ最大の成果だと思っています。
私自身の活動のお話も少ししておきます。私は、「ゲーム実習に参加しました。ゲームで科学技術コミュニケーション? と思われる方も多いと思います。たしかに、ゲームというとどうしても一方通行になってしまい、双方向のコミュニケーションはとりづらいものです。しかし内容次第で、ゲームに慣れ親しんだ若い層に訴えることができる魅力もあると考え、小中学生向きのゲームを作成することにしました。ゲームを作るということは、プログラムの作成以外にも、企画やデザインなど、基礎となる部分も重要な要素なのだということを改めて感じました。今回のゲーム作りを通して、科学技術コミュニケーションのテクニックだけでなく、自分自身の研究にも生かせるスキルを身に付けることができ、非常に有意義な実習だったと思っています。
CoSTEPで学んだことを生かすも生かさないも自分次第。ただし、今までになかった新たな分野の創設者の一員になれることも事実。あなたも、その一員になってみてはいかがでしょうか?
- 功刀 基
- 北海道大学大学院 生命科学院 博士課程