実践+発信

DUSKIN×PenエコTシャツデザイン大賞に参加して

2011.8.17

カテゴリー:Tシャツデザイン
イベント:デザインコンペ
制作者:小泉絢花(2011年度本科)
制作年:2011年8月


 初めてのデザイン。初めてのPhotoshop。初めてのコンペ。何もかもが初めてです。PhotoshopもIllustratorも使えないのが何より不安でしたが、この演習を通して、デザインとは何よりもアイデアが一番大切なのだと学びました。各自がデザイン案を持ち寄って、お互いにどうしたらもっと良くなるか、アイデアを出し合いました。褒められても否定的な意見を言われても、とにかくこの作業が一番楽しかったです。

私は、構想だけのものも含め、5案考えました。1つ目は、津波と人工衛星から見た夜の日本列島、そして夜空に星座のように浮かび上がる復興の文字を組み合わせたデザインです。震災後、被災地が停電で真っ暗になっていたのはもちろん、全国で節電の呼びかけが広がり、夜の日本列島が全体的に暗くなりました。それによって見えてきた星空に未来の希望が浮かび上がる、というストーリーをイメージしました。しかし、今、日本中で忌み嫌われている津波を敢えてデザインに入れるのは賢明ではない、とのことで没でした。

2つ目は、女の子が集まってキャンドルナイトを楽しんでいるデザイン。節電はどうしてもネガティブなイメージがあるので、どんな状況も楽しんでしまう女の子のパワーで明るいイメージにしたいと思い、キャンドルナイトパジャマパーティーの絵を描きました。ダスキンと言えばミスタードーナツなので、絵の中にはカラフルなドーナツもたくさん描きました。しかし、Tシャツのデザインでは、印刷時の制約を考えると絵よりも象徴的な記号などの方がよい、とのアドバイスをいただき、これも没になりました。

3つ目は、私が学生時代に研究していたエゾリスとSummer Timeという文字を組み合わせたデザイン。エゾリスは日の出の直前に巣から起きだし、日の入りとともに巣に帰って眠ります。そのため、季節とともに活動時間を変化させ、太陽のエネルギーをとても効率良く利用しています。人間社会で言えばサマータイムに当たるのではないかと思いデザインしましたが、いまいち平凡なデザインで没となりました。

4つ目は、おばあさんが目をつぶって震災について考えている絵です。おばあさんの顔の周りには、助け合う被災者、ボランティアがリサイクル活動をしているところを描く予定でした。震災時、私の故郷である仙台には、両親と弟、そして祖母がいっしょに暮らしていました。祖母は何も言わなかったけれど、思うところはたくさんあるのだろうなぁと思い、その思いの一部を前向きな形で絵にしたいと思ったのですが、これはほとんど絵にならないまま、構想だけで終わってしまいました。

そして最後が、応募作品となった吊楽エコです。最初は、昔ながらの長屋の軒先で涼んでいる家族をイメージしました。風鈴や打ち水、庭のビニールプール、ゴーヤのグリーンカーテンなどを絵にして描きました。その後、先生から絵よりも象徴的なものをいくつかピックアップして描く方がよい、とのアドバイスをいただき、ゴーヤのグリーンカーテンをメインに考えていくことにしました。これから来る夏を節電しながらどう乗り切るか、ということがちょうど世間の話題になっていた時期でした。しかし、改めて考えてみれば、日本人は昔から軒先に年中何かを吊るし、季節と上手に付き合ってきました。そこで、昔からの知恵も最近の流行りも両方含め、春から順番に吊るしてみました。新しい技術でエコもいいですが、昔から今まで受け継がれてきた知恵で、粋に、楽しくエコしましょう、というメッセージを込めました。

デザインが決まってからPhotoshopで仕上げていくのも、慣れない私には大変な作業でした。しかしそのお陰で、もっともっと技術を習得したいというモチベーションが高まりました。初めてデザインを勉強し、これからは街に溢れるデザインを今までとはまた違う目で眺められると思います。感性を磨き、想像力を豊かにするのはもちろん、頭の中に描いた事を表現する技術ももっともっと習得したいと思いました。