実践+発信

ようこそ「腸」宇宙へ腸内細菌のかぎりない可能性

2013.12.1

カテゴリー:チラシ・ポスター

イベント:サイエンス・カフェ札幌

制作者:古家衣梨(2013年度本科)

制作年:2013年11月

 

チラシのデザインを担当したのは、本科グラフィックデザイン実習を専攻している古家衣梨さん(北海道大学環境科学院修士1年)。古家さんの制作レポートを紹介します。

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第72回のサイエンスカフェのテーマは「腸内細菌」。ゲストは、北大農学院で消化管生理学の研究を行っている園山慶先生です。今回のチラシデザインにおける、私個人のテーマは、「超かっこいい腸を、描く」でした。これ、ダジャレじゃなくて、真面目に、です。

しかし、実は最初にイメージしていたのは、「もやしもん」のような細菌たちのゆるキャラ。そして、今回のカフェの最初の仮タイトルは、「菌活のすゝめ 〜「腸」がんばるミクロの同居人〜」でした。それがどうして、今のタイトルに変わり、そしてこのデザインが生まれたのか。大きな理由の一つは、今回のカフェ「らしさ」を、カフェ班の皆さんと私が、それぞれの立場の中で深く追究したからではないか、と思います。

園山先生と、カフェ班の皆さんと打ち合わせを重ねる中で、「superorganism(超生命体)」という言葉が、今回のカフェの軸となりました。――私達の体は60兆個もの細胞で作られています。腸は私達の体の一部です。しかし、その中にはなんと1000兆個もの腸内細菌が生きているのです。私達も、腸内細菌も、お互いに切っても切れない存在、「超生命体」と言えます――そう園山先生は仰いました。このお話から、腸内に存在する1000兆個もの細菌の世界観、もとい宇宙観、そんなイメージが沸きました。また、この研究に科学者として誇りをもっている園山先生の一面も感じられました。そして、「ようこそ「腸」宇宙へ 〜腸内細菌のかぎりない可能性〜」というタイトルが生まれ、私はゆるキャラから、「宇宙×腸」のイメージにシフトし、「超かっこいい腸を、描く」と決めました。

  

 

  

今回の腸のイラストは、私の得意でもある「手書き」を活かしました。腸の電子顕微鏡写真や、模型などを参考にし、サインペンで一筆一筆描いた、完全なオリジナルです。イラストである良さを活かして少々デフォルメしつつ、リアルさも意識しました。また、珠子先生からのアドバイスもあり、バックには、陰陽を表す「太極図(二つ巴紋)」を配置しました。太極図は中国の思想に端を発し、森羅万象や宇宙の根源を表しているとも言われています。まさに、今回のカフェにぴったりのモチーフでした。

  

 

配色にも試行錯誤をし、赤で「陽」、青で「陰」を表した太極図をバックにした、「超かっこいい腸」のイラストが出来たのです。最後のチラシ全体の構成も、イラスト以外は白と黒で統一された、スタイリッシュなデザインとなりました。私は、今回のデザインに、とても満足しています。

 

そして、今回このような素晴らしいデザインが出来たのは、珠子先生をはじめとするデザイン班の仲間の力が大きかったと感じています。今回のチラシの制作時期には、SAPPORO DESIGN WEEKや、北大サステイナビリティウィークなどのイベントが被り、私自身が非常に忙しい時期でした。それでも手は抜きたくはない、そんな気持ちを応援してくれて、たくさんのアドバイスをくれた先生と仲間たちに、感謝しています。

また、カフェのゲストの園山先生から、「このイラストを今後、大学の講義や研究紹介などで是非使用したい」と、とびきりのお褒めの言葉を頂きました。一度きりのイラストではなく、今後も使われるイラストとなったことが、製作者として、とても嬉しいです。