レポート:平山悟史(2015年対話の場の創造実習・北海道大学生命科学院博士後期課程1年)
「子どもx消化x映像」
2015年8月5日(水)、北海道にも蒸し暑い夏がやってきた8月最初の水曜日。サイエンスパーク(主催:北海道/地方独立行政法人北海道立総合研究機構)のプログラムの一つとして、小学生向けのワークショップ「ごはんはカラダを通ってどこへ行く?―アニメで体験しよう!」を開催しました。アニメーションを使って、消化を子どもたちに楽しく理解してもらおうというイベントです。
今年は、会場が道庁赤れんが庁舎(以下、赤れんが)と札幌駅前地下歩行空間(以下、チカホ)の2箇所に分かれていたため、午前は赤れんがで消化についての説明と絵を描いてもらい、午後はチカホのステージコーナーで午前に描いてもらった絵をもとに作ったアニメーションを上映しました。ワークショップには事前に申し込みをした小学校低学年の児童19名が参加しました。
本番開始!~午前の部
10:00。赤れんがの体験コーナーに子どもたちが集まり、ワークショップがスタートしました。司会はモンブランの被り物をした平山悟史(北大生命科学院博士1年)。なぜモンブランの被り物かというと・・・。写真を見れば一目瞭然。今回のテーマの『消化』に深く関連しているものに似ているのが分かります。消化について理解してもらうために「食べ物が変化するところを見てほしい」「消化には体内に存在している酵素が重要な役割を担っていることを分かってほしい」と考え、子どもたちの好物と代表的な消化酵素の『アミラーゼ』『ペプシン』『リパーゼ』を描きました。
まずは、子どもたちと好きな食べ物を描く時間にしました。目の前に紙とクレヨンがあるとはいえ、同じテーブルでも周りは知らない子がいっぱい。最初は描けない子もいましたが、各テーブルには佐々木萌子さん(北大薬学部5年)、藤井瑞季さん(北大歯学研究科博士1年)、酒井郁哉さん(北大総合化学院修士1年)、小倉麻梨子さん(北大総合化学院博士1年)、三浦ちはやさん(北大農学院修士1年)がついて一緒に描き、上手にまとめていました。
描いた食べ物の絵を持ってみんなに自己紹介をしてもらった後、改めて消化の詳しい説明に入りました。アミラーゼについては酒井さん、ペプシンについては藤井さん、リパーゼについては佐々木さんが、それぞれの消化酵素について説明しました。
ある程度消化酵素について理解が進んだところで、アニメーション用にそれぞれの消化酵素がどんな形をしているのか描いてもらいました。消化酵素の形を想像で描くというのは大人でも難しいと思います。子どもたちも非常に苦労をしているようでしたが、次第に各自が思い思いに描くようになってきました。_x0008_子どものもつ驚くほどの豊かな想像力を感じることができました。
絵を描いた後は、アニメーションについての説明が続きました。そして実際に作ってみようという事で子どもたちには消化管模型を潜り抜けて遊んでもらっている間、その様子をスマホで撮影して連続的に上映することでアニメーションの原理を確認しました。消化管ツアーの模型が大活躍し、体を動かしながら模型も映像づくりも楽しんでいる様子でした。完成されるアニメーションを楽しみにしながら、午前の部を終了しました。
午後の部
昼休憩の間に子どもたちが描いた絵からカードを作成し、午後の部の会場であるチ・カ・ホのステージコーナーへ移動しました。14:45に午後の部スタート。アニメーション上映の前に、午前の部で描いたことや制作した映像などを見ながら、客席にいる子どもたちの感想を聞くことで、簡単な復習を行いました。
その後、いよいよアニメーションの出番です。アニメーションのクリエイターとのチャットで話した後、ついにアニメーションの上映が始まりました。
子どもたちは自分が描いた絵が近づいてくると指差したり飛び跳ねたりして楽しんでいました。
最後は事前に作っておいたパンフレットに作ったカードを挟んで子どもたちに手渡し、アニメーションの前で記念撮影してワークショップを締めくくりました。
当日は池晃佑さん(北大農学院修士1年)、石宮聡美さん(北大農学院修士1年)、高橋香帆さん(北大農学部4年)、中村俊介さん(北大農学院修士1年)にも手伝っていただきました。また、アニメーションは武蔵野美術大学のにじたろうさん、石川空さん、辻村舞さん、吉田侑加さんが制作してくださいました。その他にも、消化管模型ツアーを提供してくださった方々や、当日参加してくださった子どもと保護者の皆様にも、この場を借りて感謝申し上げたいです。
皆で力を合わせて、子どもに消化について楽しく考える場が提供できたことは、やりがいを感じました。今年初めての受講生による実践だったので、進行に対する準備や、経験不足からの戸惑いなども本番では感じました。初めての遠隔映像制作イベントということもあり、ライブで制作することで機械のトラブルもありました。ただ、この経験を生かして、次はもっとよい企画でサイエンスコミュニケーションを実践したいと考えました。
当日制作したアニメーションはこちらです。子どもたちのイキイキした想像力を楽んでみてください。