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87サイエンスカフェ札幌「未来は自分で変えられる~ドイツエネルギー自立に学ぶニセコ挑戦~」を開催(3)

2016.3.1

第87回サイエンス・カフェ札幌「未来は自分で変えられる~ドイツのエネルギー自立に学ぶニセコの挑戦~」でゲストに寄せられた質問とその回答集の続きです。

大野さんへの質問

1.そもそも地中熱ヒートポンプって何ですか?

ヒートポンプとは熱(Heat)を汲み上げる(Pump)のことで、温度の低いところから温度の高いところへ熱を移動させるしくみです。土の中の温度が年間通して10~15度であることを利用して、地中から取り出した熱を施設の冷暖房に利用するものです。ヒートポンプも水ポンプと同じように、地中熱は外気温に比べて室内との温度差が小さいため、必要なエネルギーが小さくなります。

2.ヒートポンプの具体的な構造と原理、夏と冬の効果の違いを教えてください。

地中に垂直や水平方向に孔を掘り、熱交換のチューブを入れ、採熱します。夏の冷房には、地中熱を膨張させ、冷たい空気をつくります(スプレー缶を吹くと缶が冷たくなるのと同じ原理)。冬の暖房には、地中熱を電気を使って圧縮し、暖かい空気をつくります(エスプレッソコーヒーをつくるときに圧力をかけて高温にするのと同じ原理)。

3.地熱エネルギーはどうやってとるのですか? 温水をくみ上げて使っているのですか? それとも湯気のような形でとっているのですか?

使っていない源泉の熱や温泉利用後の温泉排湯から熱交換器を使って熱回収をし、給湯暖房などに利用します。

4.ニセコ町の新電力は、すべて王子発電所から供給されるのですか。

まずは10公共施設のみ王子伊藤忠エネクスと契約する予定です。

5.王子製紙から電力を買うことにしていますが、その後どのように住民主体のエネルギーに転換していく予定でしょうか。

王子製紙は一般家庭には今のところ直接販売しないので、王子製紙から電力を購入し、家庭へ小売する会社を立ち上げることを考えています。

6.尻別川は他町村にとっても財産だと思いますが、周囲町村との連携でエネルギー供給会社をつくる考えはありますか?

そのとおりだと思います!尻別川流域で考えられればすばらしいと思います。

7.ロケットストーブについて、作り方を教えてくれる方は道内におられますか? 教えてください。

ロブさんのところでWWOOF(食べ物と宿泊場所を提供するかわりに労働を提供する仕組み)の受け入れをしています。このほかニセコ町のYHカリンパニで行われるまつりなど環境系のイベントでワークショップを開催しています。

8.ニセコに観光にくるニセコファンたちからファンドを集めるというのはどうでしょうか?

ニセコの地域資源である自然環境を楽しんでいただくかわりに、ファンドや税という形でお金をいただくという考え方は十分ありえると思います。環境モデル都市アクションプランでも観光客からの資金を環境対策に活用するしくみづくりを提案しています。

9.埋蔵井戸(ヒートポンプ用)のスケーリング(目詰まり)対策はどうなっているのでしょうか。

年2回定期検査を行い、今のところ問題は起きていません。

酒井さんと大野さんへの質問

1.ドイツのエネルギー事情について、いろんな機会にうかがってきました。大野さんのようにドイツを理想的に語る方。反対に原発推進論者は、ドイツの再生可能エネルギー事情に破たん寸前との話も聞きました。大野さんが経済性を重視しながら再生エネルギーを進めている話をされましたが、それは国の助成金の裏付けがあって初めて成り立っているのではないでしょうか。

酒井: どちらの立場でも自身に都合の良い情報を使います。ドイツの再生可能エネルギーが拡大した結果、電力価格が高騰しているのは事実のようです。しかし、この痛みを受け入れてでも原発をとめたいという人が多いことも事実のようです。変化に際し、良いところ・悪いところは両面現れるはずです。問題は、何処に行きたいか未来を見つめ、勇気をもって行動することかと思われます。2015年のドイツ政府の「無借金」もドイツ人が選んだ道なのでしょう。

大野:公共施設に再エネを導入する場合は国の補助を利用しないと成り立たないのは事実です。まず公共施設でモデルとして導入し、民間への普及につなげたいからです。民間への普及が進めば初期コストを下がり、導入しやすくなります。

2.エネルギー自立に向けた企業等に求めるもの・製品・システムは?

酒井: あくまで、個人的な意見です。 地域で共有するコージェネが広がるにはまだ時間がかかるので、まずはエネファームのような家庭に設置するコージェネが良いかも知れません。また、3重窓+木サッシや外断熱の製品は、早く市場に流通して欲しいですね。移動に関しては、ガソリン消費が減るように、宅配のコンビニ受け取り、カーシェアやレンタカーの拡充、地下鉄・市電沿線のマンションの拡充とコンパクトシティー化、ビルの屋上へのソーラーパネル(熱・電気)、サマータイム導入や日没以降の労働削減。

3.エネルギー自立は素晴らしいと思います。でも電線がいらなくなる未来を選びたいです。現在のところ、まだ無理でしょうか。電池の改良が必要でしょうか。

酒井: ネットでは、個人レベルで実現されている方が、その様子を説明されていたりします。工夫次第のようです。

4.自宅で使うエネルギー(暖房、光熱、ほか)をすべて自給自足にするのが夢。いろいろなエネルギーを組み合わせて実現させたいのですが、アイディアをください。

酒井:例えば、Greenz.jpというメルマガでは、いろいろな事例が報告されています。電気だとこちらの例なんかいかがでしょう?http://greenz.jp/2015/09/17/gtalk_nao_sato/