「伝えるって難しいな」
そう感じたことがCoSTEPを受講するきっかけでした。自分が理系であることと「伝える・伝わる」ことに対する大きな壁を感じる出来事があり、それを解決する手立てになることを期待して受講を決めました。
一年を振り返ってみると、いろいろな人に出会い、たくさんのことを学ぶことが出来ました。講義では、多様な分野の第一線で活躍する方々のお話を聴き、自分が知らなかった世界に対する扉が開きました。また、一見すると関係のない物事でも、実は有機的なつながりがあると知りました。
対話の場の創造実習では、仲間と協力することと、制限のある中で考えることの大変さ・楽しさを学びました。サイエンスイベントを企画する過程で、イベントの目的は? 対象は? 何を伝えたいのか? など、仲間と何度も議論を重ねて、いかに伝えるかを模索していきました。
大勢の人が関わることに対してのやりがいと責任感を感じる中で、イベントをただつくるのではなく、より良くつくりたい。ただ参加するだけのイベントではなく、いかに参加者のその後に響かせていけるか。一年を通じて常に考え続けてきました。ひとつひとつのイベントを創り上げてきたことは、今の私の中で大きな自信につながっています。
「伝えるのって難しいな」で始まった1年は、結局「伝えるのってやっぱり難しいな」で終わりました。コミュニケーションに答えはありませんでした。しかし、一年前の自分とは明らかな違いがあります。一年間を通じて、「人に出会って」「視野を広げて」「自信を持つ」ようになった。これが違いです。これらの学びはこれからのコミュニケーションを考えるうえで重要な役割を果たしてくれると感じます。
まだやり切れていないことがたくさんあると思うので、今後もさらに先に進むことを目指して行動を続けたいです。
これから受講を考えている方にとっても、CoSTEPは実りのある時間を過ごす場となるのではないでしょうか。自分なりに「伝える」とはどういうことかを考えるきっかけになるといいなと思います。
石宮聡美(本科 対話の場の創造実習)
北海道大学大学院 生命科学院修士1年