制作者:近藤あずさ(2016年本科・対話の場の創造実習)/制作年月:2016年8月
2016年10月2日(日)に開催された第90回サイエンスカフェ札幌「できたらいいな~想いをカタチにするものづくり革命~」のチラシデザイン報告レポートです。チラシデザインを担当したのは、本科・対話の場の創造実習を受講している近藤あずささんです。
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モチーフを決める
サイエンスカフェの広報として、チラシは重要な役割を担います。以前からデザインにとても興味があった私は、スキルや経験を積みたいと考えていたため、広報役を買って出ました。
今回のサイエンスカフェのテーマは「ものづくり」。ものづくりは、クラフトから電子工作まで、受け手によって思い浮かべるイメージが異なるとても抽象的なテーマです。さらに、「できたらいいな」とこれまたふわふわしたタイトルがついています。チラシを作りますといい出したものの、ものづくりをどうやってデザインするか…苦悩の日々が始まりました。とにかく描かなければ何も始まらない、とまずは頭に浮かんだものを紙にひたすら描いていきました。
(何度も書き直したラフ)
見た人に何を伝えたいのか
その後は、Webデザイン実習担当の村井貴先生と池田貴子先生にラフを見ていただきながら、徐々にイメージを固めていきました。その時の話し合いでも課題となったのは「ものづくり」をどんな「モチーフ」に落とし込むか。
(デザインワークは夏休み返上で取り組みました。写真はアイスで“爽”やかにクールダウンしている様子)
そこで、今回のサイエンスカフェのオリジナリティは何かというところに立ち返ることにしました。今回の推しは何といってもクリエイターさんの「作品」展示があること。札幌で活躍されている5人のクリエイターさんをお呼びして、サイエンスカフェの中で作品展示を行う予定でした。ゲストの青木直史先生(北海道大学大学院 情報科学研究科 助教)もご自身で「ライトセイバー」や「サイバー鳴子」を制作されているクリエイターのお一人でもありました。
(サイバー鳴子。振ると、鳴子が光ります)
しかし、作品を載せるという案は、青木先生から「今までの経験上、作品の写真を見せただけでは面白さがイマイチ伝わらなかった」「実物をみて初めてどよめきが起こる」というご指摘をいただいていました。そのため、ものづくりという抽象的なテーマを具体的なイメージに落とし込むべく、「電子部品や工具の写真」をチラシに使うことにしました。これには2つの意図があります。1つ目は、今回のカフェはものづくりといっても、クラフトではなく回路を繋いだり、プログラムをしたりといった「電子工作」の色が強いことを伝えるため。2つ目は、タイトルとリンクさせて、これらの道具を使ってどんなものづくりをするか想像してもらう余地を与えるためです。
最初はごちゃごちゃとしてまとまりに欠けたラフたちが、話し合いを重ねるごとにどんどん1つのカタチへ収束していくプロセスはまさしく「想いをカタチにするものづくり」そのものでした。
わたしのオリジナリティ
当初、イラストが描きたかった私は、写真素材を使用すると決まった時、写真を配置してフォントを変えるだけでは「わたし」が作ったチラシにはならない! 何か自分の跡を残したい! とヘンにこだわっていました。そこで、チラシ案を2つ制作して、1つは自分の手書き文字を入れ、もう1つは手描きのイラストを入れることにしました。そしてメンバーや先生方に、良い方を選んでもらい制作を進めていきました。写真素材だけでは堅いイメージをもたせてしまうため、手描き表現がその緩和に効果的であることも同時に学びました。
(完成稿。できたらいいなの部分は手描きの文字をPCに取り込みました)
チラシが完成した後も
チラシが完成した後、多くの先生や受講生の方から声をかけていただいたり、クリエイターさんにも好評だったりと本当にうれしかったです。作っている時は、モチーフばかりに思考がいってしまい気がつかなかったのですが、白地にポップな色が映えて他のポスターと並んでも劣っておらず、人目をひくことに感動しました。
(北海道大学正門近くの掲示板)
また、チラシのデザインを基に、対話の場の創造実習メンバーの増田到さんがカフェ当日に着るTシャツをつくってくれました。他にも、プレスリリースの飾りに使用したり、バナーになったり、私がつくったデザインはこのカフェの看板になることができたのだと、ぐっと込み上げるものがありました。カフェを盛り上げる大きな役割を担うことができて、本当に貴重な、今後の糧になる経験ができました。
(カフェ用に作った、ものづくりTシャツ。チラシデザインを踏襲しています)
(カフェでは広報も担当しましたが、コンテンツディレクションと総合司会も務めました)
ご指導くださった村井貴先生、池田貴子先生。いつも遅くまでお付き合い下さった種村剛先生。そして、支えてくれたものづくりカフェメンバーのみなさん、本当にありがとうございました。