メディアデザイン実習 前田裕斗・植村茉莉恵/研修科 日下 葵
2017年度メディアデザイン実習(研修科生1名含む)では、課外特別演習として社会見学を行いました。今回訪問したのは、検索エンジンをはじめとして、多くの革新的インターネットサービスを提供しているGoogleです。Google東京オフィスのパートナー事業開発本部でストラテジックアカウントマネージャーを務める、奥野太輔さん(写真1枚目左)にお話を伺い、参加した受講生がそれぞれ活動報告をまとめました。
(Googleの奥野太輔さんと一緒に。右側は引率の村井貴先生)
【活動報告①】前田裕斗(北海道大学 農学部4年)
「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすること。」
これを使命として動くGoogle。具体的な顧客や業務内容について一切触れないこの使命は、決して終わる事のないゴール。そんな途方もないミッションを果たすべく邁進する会社を訪れ、さらに社員である奥野さんのお話を伺った。
オフィスの中身はとてもユニークで、カラフルな壁紙、ユニークな名前の会議室、昼寝場所、そしてキッチンなど、心奪われるものが多かった。やりたい職種に志願制で異動が可能なフラットで人事システムは、プロフェッショナルを作るには最適な環境だなと感じた。
だが、何よりもユニークだったのは社員の奥野さんだった。奥野さんは媒体社に対する営業を行っている。どんな経済状況の人でもインターネット環境さえあれば広告による収入を得ることが可能となる。「情報のニーズはすべての国境を越える」、という考えのもと、果てしない目標に向けて働けるというのも、やはりGoogleならではなのだろう。
(大型スクリーンでGoogle Earthにふれてみました。大迫力!)
広告に対するGoogleの考え方もとても興味深かった。Googleは短期的な収益ではなく、最終的には質の良い、顧客だけではなくユーザーにとって最高のものを作ろうとしているように感じた。広告の数とユーザー体験の質のバランスといった、広告は邪魔になるものであるべきでないという理念に基づくビューアビリティの向上がこの部分にあたる。このユーザーファーストが、web広告におけるGoogleの強さを裏付けているのであろう。
ユーザーに合わせた情報の最適化が進むと、各人にパーソナライズされた情報しか届かず、新たな知見を広げる偶然の機会が失われることになる。奥野さんは知見を広げるために新聞・雑誌を読んだり、本屋に行ってぐるっと回ったりするとおっしゃっていた。ICT業界でトップをひた走るGoogleの社員さんの言うことだったので、ものすごく説得力があったのと、自分も積極的に新たな考えを取り入れていかなければ、と改めて感じた。
【活動報告②】植村茉莉恵(北海道大学大学院環境科学院 修士1年)
(Googleのエントランスで談笑する様子/本人右側)
2017年7月3日、六本木ヒルズ内にあるGoogle Japan本社を訪れた。Google Japanの奥野太輔氏にオフィスやYouTube クリエイターのための施設、YouTube Space Tokyoの見学をご案内いただいた。以下に、自分の質問に対する奥野氏のお話と自分の考えを簡単にまとめる。
(YouTube Space Tokyoにて)
(YouTube Space Tokyoには撮影用のセットがたくさんあります。専任スタッフの方にセットの説明をしていただきました。)
(レクチャースペース。YouTuberの人たちもここで多くを学んだのかもしれません。)
Googleは自由な雰囲気で新しい発想や創造がしやすい環境であると言える。社員が委縮することなく、自由にのびのびと仕事をすることができる環境が整っているのである。定期人事異動はなく、社内で人事を公開し、やりたい仕事を探して異動することができる。また自分からやりたい仕事を提案し、部署を超えて人を集め、一緒に仕事をすることもできる。社内の部署ごとの垣根が低いことは、オフィスを見てもよく分かる。カフェスペースや廊下にあるデスクで、社員同士が交流する場が多く設けられている。そういった場で新たなプロジェクトのアイディアが生まれる場合もある。
(カフェスペースはとてもオシャレ。こういう場所で革新的アイディアが…)
またGoogleの社員が自由に発想を共有するというお話があり、この社風からそういった仕事に対する心構えになるのだと感じた。自由で無邪気でのびのびと、けれどそれぞれが仕事に責任をもって取り組んでいる姿勢が伺えた。
【活動報告③】日下 葵(北海道大学大学院理学院 修士2年)
(YouTube Space Tokyo内を見学/本人中央)
奥野さんが考えるグーグルらしさとは?
「一概には答えられませんが、人間関係がフラットであり、能動的である人物が多いように感じます」という回答をいただきました。言い出しっぺが音頭を取り企画を進めることが多く、震災時にも有志が自分で判断し能動的に動くことでグーグルの安否確認システム「パーソンファインダー」が生まれたそうです。
グーグルの広告は、グーグルにとって手段ですか?目的ですか?
「広告も情報の一種として考えています」という回答をいただきました。グーグルは広告による収入が大きな財源となっています。全く興味のない情報はユーザーにとってノイズでしかありませんが、関心があるものを示すことは情報の一種であり、グーグルのミッションである「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすること」に繋がります。グーグルは、ユーザーに役に立つ情報だけを提示することができるようにデータを取り扱っているそうです。
営業の際に、グーグルのテクノロジーについて他分野の人に説明するときはどのようなことに気をつけていますか?
「専門用語を使わないことと、機密情報にふれないことです」という回答をいただきました。専門用語が飛び交うITの世界で、専門用語を極力使用しない説明はとても難しいことのように感じましたが、グーグル訪問を終えて説明を振り返る中で、実際に私たちがグーグルについて奥野さんからお話を伺っている際に難しい専門用語は一切登場しなかったことに気がつきました。専門的な事柄については平易な言葉で解説を入れながら、相手の理解レベルに歩調を合わせながら説明を行ってくださった奥野さんの手腕に、「これもグーグルらしさの一つかもしれない」と感じました。