実践+発信

選科A活動報告「あまいけどあまくない妖怪エラベーラ考えるあなたの選択」

2018.9.27

選科A 3班 「台風ナナ号」

遠藤優、清水宏美、姜知佑、及川和宏

皆さんは普段、どのように情報を取捨選択し、意思決定していますか。情報に疑問を持ち、自ら判断していますか。

私たち3班は、嗜好品として多くの人に愛される一方、健康への悪影響が懸念される砂糖を通し、上記のような疑問を投げかけるサイエンスイベントを企画しました。

イベントは以下のような配役で、ニュース番組形式で行いました。

妖怪エラベーラ:遠藤優
キャスター砂糖:清水宏美
キャスターKang:姜知佑
アナウンサー:及川和宏

キャスターやアナウンサーが砂糖にまつわる情報を伝え、番組の合間に妖怪エラベーラが参加者の不安や疑問を煽りました。

こちらはイベントのチラシ。テレビでニュース形式 、画面の飴で砂糖という素材、そしてキャラクターで妖怪エラベーラの登場の情報を予告します。

 

(レポーターがすすきののパフェ店(仮)でインタビュー)

(韓国の特派員が砂糖を多く使う韓国のシェフを紹介)

サイエンスイベントにおいて一見非科学的な存在に思える「妖怪」を用いた意図の一つは、面白い、ユニークな雰囲気で参加者を引き付けるため。そしてもう一つは、参加者の選択を惑わすミステリアスな存在をイベント内に登場させるためです。

(ニュースで妖怪注意報が。妖怪エラベーラはイベントの途中に砂嵐と共に登場。

人間はその時、動きが止まります)

本イベントの目的である「自ら判断する」ことを参加者に考えてもらうため、アンケートとともに実物の飴を配布しておき、イベント終了時に食べるか返却するか判断してもらいました。

(アンケートと一緒に飴を配り、イベントが終わった後に妖怪が回収。回収された数を通じてイベントの効果を測ります)

≪結果≫

アンケートの回答数は34名でした。はじめに、参加者の性質について質問をしました。お菓子に関する情報の取得先では、店頭が最も多かったものの、ネットや口コミなどの情報も享受していることが分かります。

続いて、本イベントで参加者の意識に変化があったか質問しました。その結果、「普通~ほとんどない」が優勢でした。理由として、砂糖の害または利益のどちらかを主張する内容でなかったことや、多くの参加者は既に情報リテラシーの意識が高かったことなどが考えられます。

「砂糖の健康害がテーマだと思った」「テーマが分からなかった」というコメントもいただきました。これは、「砂糖の問題→選択の問題」という複雑な経路で、しかも20分という短時間でメッセージを伝えようとしたことが原因かもしれません。伝えたいメッセージから逆算して企画を組み立てる、妖怪の立場を詳しく紹介する、砂糖以外を題材とする、などの工夫が必要であったと考えています。

アンケートやコメントでは、改善点の指摘の他に「面白い」という肯定的な評価もありました。妖怪がイベントにユーモアを与え、かつメッセージを明確化したこと、実際にパフェのお店の映像を用いて臨場感を高めたことが理由としてあげられます。

なお、イベント終了後に返却された飴は14個でした。この個数を参加者に知らせる場面を設けませんでしたが、個数を伝えることで自分の選択を振り返ってもらう、イベントの余韻を深めるなどの効果があった可能性があります。

≪感想・学んだこと≫

グループワークは、メンバーの意見交換から始まりました。意見を可視化してグルーピング、構造化することで、内容の共有を進めることができました。共有の程度を確認できる時間があれば、さらに良かったと考えています。

下準備では、砂糖に関する調査、ニュース番組作り、小道具やポスター制作などを分担して行いました。調査時間の設定や全体の進捗確認が不足するなど課題もありましたが、お互いに信頼して準備を進めることができました。

(夜遅くまでイベントの準備をしてから、イベントで紹介するため締めパフェを食べに。店員さんのインタビュー動画も撮影しました)

別グループと合同で行ったリハーサルでは、自分たちで気付かなかった改善点のフィードバックをもらうことができました。その後、グループ内でのリハーサルも何度か行いましたが、もっと回数を重ねるべきだったと感じました。

(イベント当日、バタバタしているリハーサルの様子)

本番は、妖怪、アナウンサー、レポーターなどの役割に各メンバーの個性が詰まった、ユニークなイベントが実現できたと思います。また、目指すイベントの雰囲気を早い段階から共有していたことで、本番で効果的な話し方や動き方を実現できたと感じています。

イベントを終えたあと、目的が達成できたのかをアンケートで判断するのが難しく、選択の問題に対する質問をもっと入れるべきでした。また、企画を立てるときは、常に「なぜ?」を頭に置いておかないと、構成や意図がぶれてしまうことを学びました。

私たちメンバーは、専門も性格も全く異なります。しかし、だからこそ今回のようなイベントを作り上げることができたと思います。この演習で学んだことを活かし、今後はそれぞれの分野での活躍を目指します。

(イベントを企画し実施し終えた「台風ナナ号」の姿)