メディアデザイン実習 小西祐輔・大橋真智子・春日遥
2018年7月24日にメディアデザイン実習では課外特別演習として、東京都港区品川にある株式会社ニコンの本社を訪問しました。メンバーは、大橋真智子(北海道大学 理学部4年)、春日遥(北海道大学 大学院情報科学研究科 修士2年)、小西祐輔(北海道大学 大学院情報科学研究科 修士1年)です。引率は村井貴(CoSTEP 特任助教)が務めました。
(ニコンミュージアムにて。中央は全長130mmの合成石英ガラスインゴット)
ニコンミュージアムの見学
最初に、2017年の創立100周年を記念して建てられた「ニコンミュージアム」を見学しました。創立以来、光を利用した技術や精密加工を基盤として、カメラ技術の発展など独自の価値を世に与えてきたニコン。館内には100年間の歩みの中で生み出されたカメラや顕微鏡がズラリと展示されていました。日本のカメラ技術がニコンと一緒に発展してきたことをあらためて実感しました。
(館内にはニコンの製品が勢揃い)
カメラに加え、最先端の光学技術や精密加工を利用した顕微鏡・測定器の開発も行っているニコン。こうした製品は日本のあらゆる産業や研究を支えています。
(カメラ以外の光学機器もたくさん並んでいました)
憧れが学習意欲を生み出す
見学後、ニコン社員の笹尾英樹さん(映像事業部・マーケティング統括部・UX企画部 商品企画一課 主幹)と日比野秀臣さん(映像事業部・マーケティング統括部・UX企画部 商品戦略課)にお会いしました。おふたりは科学教育の可能性に強い関心を持っていらっしゃったので、私たちCoSTEPメディアデザイン実習で行う子ども向けワークショップに関して相談をしました。ワークショップのコンセプトは「VRを使って生き物たちの視覚を表現すること、それを通じて子どもたちに生き物の多様性を伝える」です。
(ワークショップの内容を共有する、メディアデザイン実習メンバー)
(コンセプトの説明をする、小西祐輔)
ワークショップの内容に関して笹尾さんと日々野さんから、さまざまなヒントをいただきました。特に印象に残ったのは「憧れが学習意欲を生み出す」ことです。例えば、プロのピアニストの演奏を見て、あんなふうにピアノが弾ける人になりたいと思う子どもと、習いごとのひとつとしてはじめた子どもがいたとします。憧れからピアノの練習を始めた子は長続きしやすく、自発的に練習するケースが多く、後者の場合はそうでもないそうです。この話を聞いて、科学者や技術者に憧れる子どもを増やすことができたら、科学教育の場はより盛り上がるのではないかと感じ、今後のワークショップに取り入れていきたいと強く思いました。
(ニコンの笹尾英樹さん)
飽きさせない工夫
他に、「興味の持続性」というキーワードがありました。子どもたちは新鮮なものに興味がある一方で、飽きるのも早く、モノゴトを継続させるには飽きさせない工夫が必要です。ワークショップにおいても子どもたちに長い時間、話を聞いてもらう仕掛けを用意しなければいけません。日比野さんは、スタンプラリーのようにイベントの進行に応じて、徐々に完成していくモノを用意すると子どもたちが最後までイベントに興味をもってくれるのではないかとアドバイスしてくださいました。
(ニコンの日比野秀臣さん)
私たちもただなんとなく話を聞くより、何かミッションを完遂させることを目的に話を聞く方が集中できた経験があるので、とても納得しました。この話を聞いて、ワークショップでは子どもたちが真剣に取り組めるモノを用意したいと思いました。
(ワークショップの構想を膨らませる、春日遥と大橋真智子)
あっという間の対談でしたが、私たちのワークショップをよりよくするためのおもしろいアイディアやユニークな事例をたくさん教えていただきました。何より熱心に私たちの話に真剣に耳を傾けて、応援してくださったことがとても励みになりました。笹尾さん、日比野さん、本当にありがとうございました。
番外編(1)ワークショップを終えて
10月14日(日)、私たちCoSTEPメディアデザイン実習は子ども向けワークショップ「アニマルめがねラボ ~VRで生き物の視覚を考えよう~」を実施しました。笹尾さんと日比野さんのアドバイスをもとに、飽きさせない工夫として、クイズに答えてシールを貼っていく形式の研究レポートを用意しました。ワークショップを実現するのはたいへんでしたが、この工夫もあって子どもたちの興味を持続させることができたと実感しています。この経験を活かして、今後もよりよい科学教育の場を作っていきたいと思います。
(ワークショップで使った研究レポート)
番外編(2)Nikon Fan Meeting 2018
10月6日(土)、創立101周年を記念して開催された「Nikon Fan Meeting 2018」の札幌展が開催されました。会場となったサッポロファクトリーホールには笹尾英樹さんがいらっしゃり、新製品のフルサイズミラーレスカメラ「Z7」の解説をなさっていました。笹尾さんはZ7の開発者の一人。会場にはZ7の断面や分解した様子が把握できる展示が行われ、笹尾さんはそれらを使いながら、開発者ならではの視点をまじえてお話されていました。最先端の科学技術の塊であるデジタルカメラを開発者自身の言葉でユーザーに伝える、これも一つの科学技術コミュニケーションの姿です。CoSTEPメディアデザイン実習のワークショップを企画するにあたり参考にさせていただきました。
(フルサイズミラーレスカメラ「Z7」の断面)
(分解した様子)
(笹尾英樹さんとCoSTEPスタッフの村井貴)
(「Nikon Fan Meeting 2018」の前日にはCoSTEPにて、メディアデザイン実習のワークショップについて意見交換を行いました)