実践+発信

いきもにあ2018”出展企画「アニマルめがねラボ ~VR体験!生きものの視覚。~」を開催しました

2019.3.26

執筆:春日 遥

メディアデザイン実習:大橋真智子/春日 遥/北村春菜/小西祐輔/山本将隆

CoSTEPメディアデザイン実習は生きもののファンイベント「いきもにあ2018」(開催日:12月2日/場所:神戸サンボ―ホール)に、生きものの視覚をテーマにしたVRコンテンツ「アニマルめがねラボ ~VRで体験!生きものの視覚。~」を出展しました。

当日の出展ブースの担当は、大橋真智子(北海道大学 理学部4年)、春日 遥(北海道大学 大学院情報科学研究科 修士2年)、村井貴先生(CoSTEP 特任助教)、福本峻介(北海道大学 法科大学院2年/外部スタッフ)が務めました。出展準備はメディアデザイン実習のメンバー全員で協力して行いました。

展示のVRコンテンツは、札幌クリエイティブイベント「No Maps2018」に出展したVR体験型サイエンスワークショップ「アニマルめがねラボ ~VRで生き物の視覚を考えよう~」(開催日:10月14日/場所:札幌市円山動物園)の内容を引き継ぐものでした。いきもにあでは生きものファンの来場者にVRゴーグルの使用法を説明し、VRコンテンツを体験してもらい、質問等があれば井戸端会議のようにやり取りを行うという形式をとりました。

いきもにあは、生きもの好きのアーティストや生きものマニアが制作した作品の売買を行う「買いもにあ」と展示を行う「見るもにあ」、そしてプロの研究者の方の講演の「知るもにあ」の三部構成です。作品の売買・展示は、日本最大の同人即売イベントであるコミック・マーケットの評論ジャンルや、アクセサリーの販売ジャンルに近い雰囲気です。昨年は2日間の開催で延べ約5000人の来場者、今年は2日間の開催で延べ約5800人の来場者を記録したそうです。

(いきもにあの販売ブース例)

最初の来場者

私たちのブースの最初の来場者は、いきもにあ実行委員会の方でした。搬入準備をしていると、実行委員の女性の方が「VRの方ですか?」と声をかけてくださいました。いきもにあへの出展は実行委員会の方々が数ある応募の中からブース数を考慮して出展者を選びます。審査時に「VR!どんな展示になるのかな?」と話題になり印象に残っていたそうです。いきもにあ出展者はハンドメイドのグッズ販売が多いため、VR展示という珍しさが功を奏して出展に至ったのかもしれません。

いよいよ本番

本番では2~3人体制で対応しました。混んでいる時間帯は2人ではとても間に合わない状態でした。VRコンテンツ体験後のアンケートは196枚も集まりました。未回答の方もいるため、200名以上の方々が私たちの展示ブースに来ていただけたことになります。

(私たちのブースの混雑ぶり)

視覚に関する同人誌

VRコンテンツ以外も好評でした。いきもにあに集まる来場者の傾向を考え、10月開催のワークショップからの追加要素として、私たちは「同人誌」を作成することにしました。VRコンテンツでは、イヌ・ネコの2色型色覚や、ヤモリ・カエルの動体視力、カメの視力を題材にしています。その制作プロセスの中で、「やろうとして表現できなかったこと」や「この技術でここまでは表現できた」という点、参考にした先行研究などがあります。

(制作した同人誌)

札幌市円山動物園でのワークショップでは、対象は小中学生だったため、それらの詳細を掘り下げて解説することはできませんでしたが、今回は生きものファンの大人が多い場所です。いきもにあには学生や研究者、マニアの方々が集まることを考えると、そのような詳細をまとめた冊子を配布すると喜ばれるのではないかと考え、メディアデザイン実習メンバーと画像処理部分を担当した池田宥一郎さん(株式会社工房あにまうぇあ)で配布用の同人誌を執筆しました。

執筆の際には、札幌市円山動物園でのワークショップの際に監修に入っていただいた水波誠さん(北海道大学 大学院理学研究院 生物科学部門 行動神経生物学分野 教授)に文章のチェックをしていただきました。冊子は300部を用意し、全て配布できました。いきもにあ2018自体の参加者が約5800名だったことを考えると、20人に1人は私たちのブースで冊子を受け取っていただいたことになります。

夜の懇親会

いきもにあでは出展者同士の交流も盛んで、夜には懇親会が開かれました。懇親会では実行委員会のスタッフによるフラッシュトークが行われました。スタッフも生きものファンで、自身の研究内容を発表していました。会では12月ということもあり、クリスマス風の鶏の丸焼きが供されました。ホネホネ団(大阪市立自然史博物館を拠点に活動している骨格標本作成サークル)の方々が「この人は若いので胸骨が軟骨です」など骨の解説をしながら肉を切り分けていました。

(懇親会の料理)

SNSでの情報発信

いきもにあはTwitterでの情報交換が活発です。各ブースで正面に貼る紹介シートには、「写真OK」、「SNSへの投稿OK」を記載する欄があり、SNSへの投稿をして良いブースでは、来場者は積極的に情報発信していました。また、ハッシュタグを使った情報交換も行われていました。「#いきもにあ」「#いきもにあ2018」「#いきもにあにいますか」といったいきもにあ全般に関するハッシュタグで、在庫状況や出品情報を確認することができました。「いきもにあ VR」で検索してみると、「#いきもにあ で一番気になっていたVRブースにて。目の前にカメやレオパが現れて、子どもたちも興味津々。」といった、私たちのブースに関するツイートを複数見つけることができ、とても嬉しかったです。

(Twitterを利用した宣伝)

また、いもにあ終了後も、いきもにあ実行委員会がハッシュタグ「#いきもにあ後夜祭」で、購入したグッズなどのツイートをして盛り上げ、togetterにまとめていました(2018 #いきもにあ後夜祭 まとめ)。のぞいてみると、いきもにあの雰囲気が分かると思うので、ぜひ見てみてください。

(「#いきもにあ後夜祭」の例)

出展してみて

2日間合計12時間というメディアデザイン実習史上最長(?)となった展示の最後のお客様もまた、いきもにあ実行委員の方でした。VR展示が気になっていたという男性でした。やはり私たちのVRブースがいきもにあスタッフ間で話題になっていたのは間違いないようです!

いきもにあは来場者としても出展者としても魅力あふれるイベントでした。来場者としては、魅力あふれるコアなハンドメイドグッズの数々やマニアな研究者の方の講演会を楽しめます。出展者としては、実行委員会の方のメール対応の速さや物品貸し出しの充実、搬出の宅急便手続きの素早さ、即売会の温かい雰囲気、懇親会でのマニアなフラッシュトーク。「こんなにサポートが整っている即売会はなかなかない」と懇親会で他の出展者の方々から伺いました。機会があればまたいきもにあへ出展したいです!

(いきもにあ終了時の集合写真。左から村井貴 CoSTEP特任助教、福本峻介、大橋真智子、春日遥)

おまけ

後日、さらにコンテンツを増やして実施した「アニマルめがねパーク」の際、ツイートしたら「いいね!」や「リツイート」などの反応をいただきました。

 

主催:(株)工房あにまうぇあ

共催:北海道大学 CoSTEPメディアデザイン実習

同人誌執筆協力:(株)工房あにまうぇあ 取締役 池田宥一郎

同人誌監修:水波 誠(北海道大学 大学院理学研究院 生物科学部門 行動神経生物学分野 教授)

当日スタッフ:福本峻介(北海道大学 法科大学院2年)