実践+発信

モジュール2-3「伝えるライティング・伝えるプレゼンテーション」(7月4日)本平航大先生講義レポート

2026.10.2

細川真那(2026年度本科受講生/知の発信)

モジュール2-3の講義では、「伝えるライティング・伝えるプレゼンテーション」という題で、北海道大学CoSTEP特任助教の本平航大先生に講義をいただきました。

聞き手のことを考えて伝える

『聞き手のことを考えて伝える』ことがプレゼンテーションの本質である、という導入から始まったこの講義。まず、受講生同士で、「よいプレゼンテーションとは何か?」について意見を出し合いました。「そもそもの内容が面白い」「話す人の人生経験が感じられる」「メッセージ性がある」など、様々な意見が出ました。よいプレゼンテーションに惹かれる理由を言語化し、そこから学んでいくことがプレゼンテーションへ向き合うことに必要であるといいます。

今回の講義では、実際にいくつかのプレゼンテーションなどを視聴することによって、何を感じるのかの言語化に取り組みました。過去のCoSTEP講義を視聴し、なぜ話に引き込まれるのかを考えました。また、TED Talkの動画では、メッセージを直接伝えているわけではないのに、視聴者の心に伝えたいことが残る、という経験をしました。さらに、「もうじきたべられるぼく」というアニメーションを視聴しました。プレゼンテーションではありませんが、見ている人に直接メッセージを明示しているわけではないのに、その描写やセリフから、語りかけてくるメッセージがありました。これは、プレゼンテーションにも通じるものがあります。これらの言語化を通して、他の人のプレゼンテーションからよいプレゼンテーションであると感じる要素や理由を抽出し、自分のプレゼンテーションを見直す機会としました。さらに、本平先生に同じ内容で2パターンのプレゼンテーションを実演していただきました。この実演から、話し方や資料の見せ方を変えることで、印象の残り方が変わる、ということを実感することができました。

こうした実践をきっかけに、他の人のプレゼンテーションから要素を抽出し、自分自身のプレゼンテーションの課題を見つけるという学び方についても触れられました。ただし、プレゼンテーションの基本を理解していなければ、そもそも何が良いのかを分析することもできません。また、他人の手法をそのまま真似る必要はなく、自分に合わないものは無理に取り入れなくてよいこと、そして参考になるのはプレゼンテーションに限らないということも強調されていました。

届けたいメッセージは何?

講義で特に印象的だったのが、聞き手に最も届けたいメッセージ、いわゆるメインメッセージ・テイクホームメッセージを明確にすることの重要性です。そのためには、聴衆や読者を深く分析する必要があります。例えば、高校生に向けて話をする場合、「高校生」という括りだけでは分析として粗すぎるといいます。こちらが伝えることに対して、どれくらいの興味を持っているのか、どんな行動をしているのか、というところまで掘り下げて初めて、届けるべきメッセージの輪郭が見えてくるとのことです。特に記事の執筆などのライティングの場合は、プレゼンテーションと違って聞き手の反応をリアルタイムで確認できず、また、一度世の中に出してしまうと修正が難しいケースが多いため、このターゲット分析がより重要になるとのことでした。

聞き手の心を動かすストーリー

また、聞き手の心を動かすのは、情報そのものではなくストーリーであるということも学びました。ストーリーを通すことで、聞き手の中に自発的に感情が生まれ、それが納得感や記憶の定着につながっていきます。加えて、非言語的なコミュニケーションがプレゼンテーションに与える影響の大きさや、感情の変化を意図した情報の届け方についてもお話しされました。心を動かす表現という点では、発信者側の言葉ではなく、聴衆や読者の言語で語ることの大切さが挙げられました。刺さるポイントは人によって異なるため、一つの表現にこだわらず、複数の伝え方を用意しておくことも有効だといいます。他人のプレゼンテーションを見る際にも、相手の感情がどこで動いたのかをチェックしながら見ることが、自分自身の学びにつながっていくのだと感じました。

今回の講義を通して、プレゼンテーションやライティングは、伝えたいことを一方的に発信する行為ではなく、聞き手・読み手を深く理解した上で成り立つコミュニケーションであるということを改めて実感しました。冒頭で語られた『聞き手のことを考えて伝える』という言葉の意味を、実演や議論を通して具体的に掴むことができた講義でした。今回の講義での学びを、今後のプレゼンテーション実践の起点にしたいと思います。


本平先生ありがとうございました。