実践+発信

選科A活動報告「おとなのための観察講座 みるきくさわる2 音の観察~」

2019.10.17

選科A 4班「チームNAR」
朝日 冴佳、今田 淑乃、團 優菜、松元 理沙、山田 洋平

昆虫、朝顔、人間など、対象は様々かもしれないが、観察をしたことがある人は多い。そもそも観察とは何なのか。なぜ必要なのか。チームNARでは根本に立ち返るサイエンスイベントを企画した。

テーマ決定の理由

どんな分野の科学にも、観察という手法を用いることは共通している。観察という科学の手法について解説することで、観察を通して幅広い分野に対して興味をもつことに繋がると考えた。

【目的】
「観察=客観的に物事を捉えること」であることを学び、科学技術における観察の必要性を体験してもらう。

【対象】
観察のやり方を知りたい人・無関心層

【設定】
科学技術関連施設で行う、シリーズ展開イベントの一つとして企画した。観察の始まりである「身近な何かに興味を持つ」際、人間は五感を働かせる。今回は観察に使うイメージが薄く、個人による受け取り方の差異が明確な聴覚に絞ったイベントとした。

【達成目標】
観察のやり方(観察=客観的に物事を捉えること)と科学における必要性がわかり、実践したいと思ってもらえる。観察を通して科学技術に興味を持ってもらう。

【イベント内容】
最初にメンバーの各専門分野の観察を紹介した。文理問わず全ての分野で観察が使われている。

お客さんの観察経験も豊富な様子。視覚を使った観察例が多く挙げられた。続いて音の観察例を紹介した。調律士やトンネル点検員などは、音を観察する職業の代表例である。耳で聞くことは、聞こえ方に個人差(=主観)が生じる。更に、聞いた音を正しく再現することは難しい。このことを体感するため、実際に耳で聞くワークを実施した。音のサンプルを聴き、聞こえ方に個人差があること、再現が困難であることを会場全体で共有し、主観にはズレがあることを体感してもらった。

  • モスキート音(人によって聞こえる音と聞こえない音)
  • モンゴルの伝統的歌唱法ホーミー(聞いた音の再現は困難)

次に、科学の世界ではこのようなズレを解消する為に、定義を決めたり数値化することで客観的な視点で観察を行い、誰がみても同じ情報になるようにすることが重要であることを説明した。観察によって積み重ねられた情報が、科学技術として社会に役立っていることに繋げ、例としてドローンを用いたトンネル点検の動画を見てもらった。

(次回は第三回「触覚編」でお会いしましょう~!)

まとめとして、観察とは様々な事象から情報を集め、主観的な情報から、客観的で再現性のある情報へ変換する行為であることとした。

実施した結果

今回のイベントを通して、観察が大切だと思う人がほとんどであった。

(質問5)

イベント前後で観察について考え方がどのように変化したかを集計した。イベントを終えて観察ができるようになった人、観察を今後やりたい人が増えており、達成目的として挙げた「観察のやり方を知ってもらう」「観察を実践したいと思ってもらう」という点が達成できた。また観察をする必要があると考える人も増加している。興味のあるテーマとして、次回のテーマに設定した触覚、今回の講座で触れたモンゴル語・言語、人間観察などの意見があがった。

(質問6)

(質問7)

(質問8)

考察

今回のイベントは、CoSTEP受講者が参加者の半数以上を占めるという特殊な環境だった。そのため、本来観察に興味がない人へのアプローチができていたかは検討する必要がある。また、非専門家・無関心層を対象にしたイベントであった為、内容を簡潔にわかりやすくしたり、ワークの材料の選定・雰囲気づくりをもう少し丁寧に行う必要があった。

イベントの感想・イベントを通して学んだこと

大きなテーマだったが、企画段階からメンバー同士でお互いの研究テーマや方法、道具について話す機会が多く、専門外の内容に興味を持つことができた。同じように、お客さんにも専門外の内容に興味を持って頂けたことが嬉しかった。今後は、更に観察への理解を深めて次回(第3回)に繋げるだけでなく、自分の研究分野や個人での活動でも精力的にイベントを企画・実施していきたい。

謝辞

チームNARのイベント企画実施にあたり、お世話になった皆さまに感謝申し上げます。