阿多 郁子(2020年度 選科/社会人)
7月4日、北海道大学CoSTEP特任助教の池田 貴子 先生による、モジュール2「表現とコミュニケーションの手法」第1回講義「実践入門」がオンラインで行われました。
・経験学習とは?
講義の冒頭は、経験学習についてのお話でした。自分が実際に経験した事柄から振り返り、理解し、実践し、経験してまた振り返って…の繰り返しの中で学びを得る事が経験学習であるという事を、解説して下さいました。
・自分のフィールドで自分の強みを活かす
その後、科学技術コミュニケーターとして、自分の立場やフィールドで自分の強みを活かしていく事について、実際に池田先生の専門とされているエキノコックスに関してのリスクコミュニケーションを例に挙げ、お話しして下さいました。エキノコックスについて、バックグラウンドの説明の後、予防対策のお話では、実験段階で成功している対策が社会実走されていない現実や、リスク評価と価値判断が関係している事など、予防科学が抱えるジレンマも示されました。
・サイエンスカフェと都市公園イベントの実例
先生が実際に関わったサイエンスカフェと都市公園でのイベントでの実例も紹介されました。サイエンスカフェでは、イラストや映像を活用して、科学的なものを可視化するというサイエンスビジュアリゼーションの例を示してくださいました。都市公園でのイベントでは、講習会などの説得をする形のコミュニケーションではなく、地元住民との信頼関係を築くため、お祭りに参加して親子向けに標本を見せたり、塗り絵を企画したりする中で、メッセージを発していったことなどを報告して下さいました。また、サイエンスカフェや都市公園イベント参加者への調査を通して、どの程度エキノコックスについての教育を受けているのか?予防のための知識があるのか?などを知るリサーチもされており、興味深い結果が出ていました。
・修了生の実践と質疑応答
最後に、CoSTEPの修了生の実践内容が紹介されました。学会発表への参加、ワークショップの実施や、アフリカで配る注意喚起うちわの作成、ラインスタンプの作成などの実践例を示して下さいました。講義後の質疑応答では、実行にあたってのコストについても話題に上がりました。
・感想
今回の講義では、池田先生の実践例を通じて、これから私たちが科学技術コミュニケーターとして経験するであろうイベントでの体験や、考えるべき事についてなど、興味深いお話を聞く事ができました。今後、たくさんの経験をして、その中から多くの学びを得た上で、今後の活動に臨みたいと考えています。