2021年3月1日に開催されたJST-RISTEX ELSIプログラム「チームビルディングのためのネットワーキング・ワークショップ」にCoSTEPの原健一が参加しました。本ワークショップはRISTEX「科学技術の倫理的・法制度的・社会的課題(ELSI)への包括的実践的研究開発プログラム」(RInCAプログラム)が開催したものです。科学技術コミュニケーションの活動を行っていく中で、自然科学の研究者のみではなく、人文社会科学の研究者や、あるいは企業で活躍する方々とのつながりをつくっていくことが重要視されています。しかし、そういったいわゆる異分野の人々がつながりあうことは容易ではなく、そのような協働のきっかけの場も十分にあるわけではありません。今回の企画はそのような異分野のつながりをつくる契機として提案されたものです。
プログラムは以下の通り。原が参加させてもらったブレイクアウトルームセッションのことを手短に報告させてもらいます。話題は「ご自身の研究・活動にどのようなセクター・分野の人が加わると、面白くなりそうだと思いますか?」、そして「連携したいと思ったときに、何が一番の課題ですか?」というものでした。
14:00~14:15 開会/RInCAプログラムの紹介、ワークショップの趣旨・進行説明
14:15~14:30 「RInCAプログラムへの期待」
14:30~14:40 ブレイクアウトセッションの説明
14:40~15:20 セッション1
15:20~15:30 休憩
15:30~16:10 セッション2
16:10~16:15 ルーム移動
16:15~16:25 ブレイクアウトセッションの振り返り
16:25~16:30 総括メッセージ
一回目のブレイクアウトルームは、意外にも人文科学系の研究者の方が多かったですが、やはり文理入り混じるメンバーになっていました。セッションの内容は「ご自身の研究・活動にどのようなセクター・分野の人が加わると、面白くなりそうだと思いますか?」というもの。人文社会科学の方は自然科学の方に言及し、逆もまた然りといった発言はもちろん見受けられましたが、中でも多く挙がっていたのは教育工学の方と一緒に取り組みたいという意見でした。教育の現場に参入する必要性と、さまざまな教育の技法について示唆をもらいたいという意見がありました。
二回目のブレイクアウトルームのテーマは「連携したいと思ったときに、何が一番の課題ですか?」というもの。のちの全体での振り返りでも言われていましたが、問いを立てるというフェイズと、問題を解決するというフェイズのどちらを重要視するのかという認識のギャップが連携の際の障壁になるのではないかという問題提起がありました。そのギャップをいかにして埋め合わせるのか、そもそも埋め合わせられるのか?あるいは、私たちの求められているアウトプットは問題提起なのか問題解決なのか、両方をカバーするようなアウトプットなのか?私自身も問題提起をさせてもらう機会をいただき、多くの方々と同じ課題について考えるきっかけになりました。
80分もあったディスカッションの時間があっという間に過ぎていきました。もちろんこの場だけでは問題の解決などは望むべくもありませんが、自分一人で悩んできた点を言葉にして、その問題を、異分野の同じ目的をもった人々と共有できたことはとても励みになりました。冒頭で述べたように、このワークショップは「研究のアイディアを練り上げたり、共同実施者を募るきっかけとして活用」することを目指したものです。今後もこのようなきっかけの場があれば積極的に参加したいと思うと同時に、私自身がこのような場を創造できるようになりたいとも改めて思いました。