フルハイビジョンの4倍の解像度をもつ、“4K”(約4000ドット)で表示される高精細映像を体感するイベントが6月26日土曜日、北海道大学理学部大講堂で開かれました。
高精細映像フォーラムの様子
壇上には、札幌市内の映像制作会社ニューピークフィルムが保有している、高解像度のデジタル・シネマカメラ「レッド・ワン」が見本として展示され、存在感 を放っていました。
高精細ビデオカメラ「レッド・ワン」
また、日本ビクターが開発した高解像度、高コントラストを誇るプロジェクター(DLA-SH4K)が教室中央に備え付けられ、スクリーンに4k(4096×2400ドット)の映像を映し出します(近くで見ると、本当に大きいプロジェクターです!)。
ビクターの高精細プロジェクター
まずは4K映像のデモンストレーションのために制作されたという「美ら島沖縄」の上映。青空をバックに踊る琉球衣装をまとった女性の姿が、立体映像のようにくっきり浮き立ち、場内から感嘆の声がもれました。まるで大講堂が映画館になったかのようです。
沖縄のデモ映像
次に、10億画素以上のスキャンカメラで取り込んだという、浮世絵や古地図、屏風絵などを高精細画像として映し出し、自在にズームイン・アウトします。こうした素材は、岡山市にあるコンテンツ株式会社(小野博社長)が用意して下さいました。貴重品のデジタルアーカイブを残すという意味だけでなく、学術的な意義もあるそうです。
浮世絵の秘密に高精細映像で迫る
照明の角度を変えることで、浮世絵から不思議な文様が浮かび上がって、当時の絵師のこだわりを発見したり、可視光だけではなく、赤外線などを照射することによって、人間の目には見えない文字情報を浮かび上がらせることができるとのこと。
こうした技術は、これから古文書の解読や、美術史の研究などで大いに活躍が期待されます。
その後は、北大キャンパスを通常のハイビジョンカメラと、レッドワンで撮影した映像の比較映像を上映しました。この日のためにキャンパスを撮影しておいたのです。
そして、コンテンツ社などが開発している地球上を自由に飛び回り、空から地形を見ることのできるソフトのデモンストレーションがありました。日本や北海道、そして北方四島を空から「旅」しているような感覚で、子供にも大人気とのことです。高解像度シミュレーターとしての4k映像の可能性を体感することができました。
まるで鳥になったよう
最後に理学研究院生物科学分野で植物細胞やホルモンなどの研究をしている綿引雅昭准教授から、高精細映像技術の植物学への利用についてお話をいただきました。
理学研究院の綿引雅昭先生
このフォーラムに先立って、綿引さんと小俣友輝さんから発芽前のシロイヌナズナを提供していただき、ニューピークフィルムが、レッドワンカメラを用いて発芽のコマ撮りを、2分に1コマのインターバルで1週間かけて行いました。
今回はその貴重な映像をもとに、生命現象を観察する上で、高精細映像が果たす役割について、綿引先生がプレゼンテーションして下さいました。最先端映像技術が、サイエンスの現場でどのように活用されていくのか、非常に可能性を感じさせるお話でフォーラム全体をまとめていただきました。
シロイヌナズナの発芽をとらえた映像