2021年6月13日(日)、首藤光太郎さん(北海道大学 総合博物館 助教)をゲストにお招きし、第117回サイエンス・カフェ札幌「この花の名は。~北海道大学の植物分類学の歴史から〜」をオンラインで開催しました。日曜日の午前10時開催にもかかわらず、参加者数は最大105名でした。YouTube Liveの配信によるサイエンス・カフェ札幌は、昨年から引き続いて7回目となりました。カフェの聞き手は種村剛(CoSTEP特任准教授)が務めました。
(カフェの動画はこちらからご覧になれます)
今回のカフェの目的は、北海道大学札幌キャンパスの魅力の一つである、構内の植物について、大学で行われてきた植物分類学の研究史を踏まえつつ紹介することでした。その理由のひとつは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、なかなか外に出られない状況で、戸外の緑を愛でることの楽しさや心地よさを伝えたいと考えたからです。そして、サイエンス・カフェ札幌のライブ配信が行われるようになり、カフェの参加が全国規模になるなかで、改めて、まずは私たちが北海道大学札幌キャンパスのローカルな魅力を伝えようと思ったからです。実際、カフェを行った6月の初夏の札幌キャンパスは一番美しくそして過ごしやすい季節です。
カフェのゲストの首藤さんは、植物の形態を調べ、草花の和名や学名を明らかにする植物分類学が専門です。本格的に植物分類学が日本で始まったのは、明治時代、北海道大学の宮部金吾らは、日本の植物分類学のパイオニアだったことが、北海道大学総合博物館陸上植物標本庫に所蔵されている100年近く前に制作された標本と共に紹介されました。
札幌キャンパスの植物の魅力を伝えるために、カフェのゲストの首藤さんが標本制作のために札幌キャンパスで行っている、植物採集に、4月と5月の2回同行しました。朴炫貞(CoSTEP特任講師)が植物採集の様子を撮影し、編集した映像をカフェの本編で公開しました。
次に首藤さんが、青森の湖沼で発見した水草、ガシャモクの話を紹介しました。いったん絶滅したとされていた植物が調査の結果見つかることの、ワクワクやドキドキが、首藤さんの語りから伝わってきました。
では、どうしたら植物の名前がわかるようになるのか。その秘訣を首藤さんに話してもらいました。植物を観察し、種のあたりをつけ、図鑑を使って同定する手順を教えてもらいました。そして、初心者にも使いやすい図鑑やアプリを紹介してもらいました。
活発な質疑のあと、首藤さんは「日本では植物に詳しく、名前がわかる人がだんだん減ってきている、このカフェをきっかけに植物に興味を持ってくれる人が増えると嬉しい」「生物に興味を持っている人は、まずは、翌日同じ場所に行けば観察できる植物から入門してみるとよい」とメッセージを残しました。
首藤さんありがとうございました。