2021年10月9日(土)・10日(日)にCoSTEP17期選科B集中演習が行われました。集中演習は、内村 直之 先生とCoSETPスタッフによるレクチャーとワーク、そして、受講生同士のピアレビューを中心に行なわれました。今年も、新型コロナウイルス感染症対策のため、オンラインでの開催となりました。受講生が日本各地から集い、科学における言葉の可能性を探究する2日間となりました。
【レクチャー】
内村 直之 先生(科学ジャーナリスト)には、課題文の第一稿に直筆で赤入れをしていただきました。そして、その赤入れに基づいてレクチャーしていただきました。
・なぜ赤入れをするのか?
・構成要素ごとのチェックポイント(専門用語、文、全体の構成)
・執筆の際に気にすべきバイアス
主に上記の三点からサイエンスライティングのポイントを解説していただきました。新聞記者などサイエンスライターとして長年ご活躍されてきた内村先生の経験を言葉にして伝えてもらうことで、サイエンスライティングの基本的な部分から応用までを学ぶことができました。
他にも、30分のミニレクチャーを行ない、課題文の執筆に生かすことのできるテクニックを学びました。
・タイトルのつけかた(原 健一 CoSTEP博士研究員)
・引用のしかた(原 健一 CoSTEP博士研究員)
【ワーク】
ZoomのブレイクアウトルームやGoogle Driveでのファイル共同編集機能を活用しながら、オンラインでのグループワークを行ないました。今回行われた3つのワークと担当者は以下のとおりです。
・文章デッサン(川本 思心 CoSTEP部門長)
・キーワードの解説(池田 貴子 CoSTEP特任講師)
文章デッサンはたいへん好評でした。二日間をともにする仲間とのアイスブレイクとしても機能していたように思います。また、今回の課題文では、図表に頼らないライティングが課題として出ていたので、文章デッサンにおける絵を文章にしていくプロセスを通じて、そのような課題に挑む姿勢を整えることができたように思います。キーワードの解説は、課題文のなかで対象にピントを合わせた文章表現を学ぶ機会になりました。キーワードの選び方から、例を用いて表現の細かい修正までを学びました。すぐに課題執筆に生かすことのできる具体的な観点が得られたのではないでしょうか。
【ピアレビュー】
4つのグループに分かれて、受講生各人が設定したテーマに関する文章を、執筆・改訂しました。改訂の際には、お互いの文章にコメントし合いながら、改稿を繰り返しました。今回はグループメンバーをシャッフルするピアレビューも行ないました。オンラインでなかなかできにくかった横のつながりを確保するきっかけにもなったはずです。
【振り返り】
最後に、この2日間を振り返って、「では、あなたは何を書く?」という問いに一人ひとりが答えていきました。先にも述べたように、今回の選科Bの課題では、図表の使用なしという制限がありました。地理的な情報など、図に頼れば端的に示すことができる事柄でも、表現を磨き上げ、言葉のみで伝えることが要求されます。受講生は、この課題文執筆を通して、科学技術コミュニケーションにおける言葉の可能性に2日間むき合い続けました。
受講生は、今回の集中演習で執筆した文章の最終稿を二日目の最後に提出し、その後、約一週間で校正しました。課題文は文庫本型の成果物として選科B受講生のもとにお届けします。集中演習は終わりましたが、CoSTEPでの学びはこれで終わりではありません。二日間の学びを生かして、今後の講義、そして修了式に臨んでいただければと思います。