実践+発信

アノオンシツ企画の植物と居場所 vol.1「苔の息」展を開催しました

2022.1.7

アノオンシツで、植物の居場所を共同制作で考える展示、その1回目の試みとして「苔の息」展を開催しました。20211210()11()12()17()18()19()の6日間、陶芸作家の安部郁乃さんと、CoSTEPの朴炫貞が共同制作したインスタレーションを展開しました。

アノオンシツに入ると、コンクリートの台の上に、コンクリートのブロックに置かれ、その上に焼き物のうつわに苔が置かれてるものが見え、その手前にはロウソクと、石の形をした焼き物が配置されています。

手前の石のような焼き物は、中に焼き物の破片が入っていて、動かすと音がします。砂漠の薔薇をイメージで制作したうつわとのイメージに合わせ、13つの苔の器+石のセットを展示しました。参加者は、手前の石を手にとって、音を鳴らしながら鑑賞できます。

韓国語で苔は「イキ、이끼」ということで、苔が息(イキ)する居場所を見つめ、音とロウソクで体感ができる空間を目指した本展。苔とうつわは、ブロックの上だけでなく、植物が植えてある鉢にも配置されていて、植物の居場所を日常でそれぞれ展開することを想像できるようにしています。

昼と夜、雪がない時とたくさん降ってきた時の印象が、ガラッと変わることも、今回の展示の大きな魅力でした。夜になると、ロウソクの揺らぎが目に入ります。苔が息することで生まれる酸素を活用して燃える炎が、鑑賞者の息で揺らすことがよく見えるようになります。苔やうつわ、石の様子は明かりを照らしながら見るしつらえになっていました。

今回の展示は、石山通りをわたるアノハシが撤去されてから初めての展示で、新たなアノオンシツまでのアクセスを体験していただく展示でもありました。石山通りの高架を通ってからすぐある鉄の門を、展示期間中のみ開放して、車でのアクセスができるようにしています。

周りの環境の影響を大きく受けるアノオンシツ。今回の「苔の息」展でも、冬ならではの自然と共にするインスタレーションが体験できたと思います。天候が悪い日でも、たくさんの方々にお越しいただき、また時間帯や天候で印象が異なることを体験したいということで、リピートしていただき、誠にありがとうございました。