10月27日の授業は、「『理科離し』を超えて〜地域における理科教育の可能性〜」というテーマで、市立函館高等学校 理科教諭の渡辺儀輝さんにお話しいただきました。同時に、渡辺さんは函館のメディアに出演し、市民に科学技術を広めている科学技術コミュニケーターでもあります。
高校の理科教諭として日々高校生に理科を教えておられる立場から、果たして「理科離れ」はあるのだろうか、という疑問を投げかけます。データから示される生徒たちの科目の好き嫌いのデータからは、それほど理科を嫌っているというわけではないようです。そんな渡辺さんは、「大人が意図的に、そして政策的に、子どもたちから理科・科学を離している」と言います。それが、テーマに掲げた「理科離し」の意味です。
さまざまな活動をされている渡辺氏ですが、個人で行うことには限界があると言います。幸いにも、JSTの地域ネットワーク支援を受けた「はこだて国際科学祭」に関わるようになり、グループで力を合わせて活動する楽しさや、やりがいを知ったそうです。科学技術コミュニケーターとして活動しようとする皆さんにとっても、個人でできることとグループでできることをきちんと分けて考えることは、無理なく、長く続けるための秘訣ではないでしょうか。
授業では、DVDに収録した動画コンテンツ、理科教育ニュース(生徒向け壁新聞)、新聞を使った情報発信の事例など、いろいろな理科教育のツールを使ってご自身の活動を紹介してくださいました。理科や科学に関心を向けてもらう努力、「一度関心をもったら二度と離さない」という意気込みが伝わってきました。
今回の授業は、受講生の皆さんに語りかけ、問いかけるように進められ、コミュニケーションが重視されました。コミュニケーションのスタイルにもいろいろありますが、今回の授業が大いに参考になった受講生も多いことでしょう。