実践+発信

6WPI広報セミナー話題提供

2021.11.10

11月5日、WPI(世界トップレベル研究拠点プログラム)の広報担当者が集まり情報を共有するWPI広報セミナーの第6回で、CoSTEPの川本が「なぜ広報・コミュニケーションをするのか」と題して話題を提供しました。

WPIは日本の大学・研究機関に設置されている、その名の通り世界のトップレベルの研究者が集まる組織です。そのひとつとして、北大には化学と計算科学の研究に取り組むICReDDがあります。これらWPIでは、国際的な広報やArtist in Residenceといった先進的なコミュニケーション活動も行っています。

そのような広報のトップ拠点で活躍する方々に、どのようなお話が提供できるのか。今回、お話をいただいた長谷川麻子さん(日本学術振興会 世界トップレベル拠点形成推進センター)、Thilina Heenatigalaさん(東工大ELSI)と検討し、あえて、科学技術コミュニケーションとは何か、なぜするのかという原点に立ち戻って考えてみることになり、そのための材料として、CoSTEPの事例を中心にお話ししました。

まずCoSTEPの概要について簡単に説明したあと、先月のリスト・ベンジャミン氏のノーベル化学賞受賞発表に、どのようにCoSTEPがICReDD広報や広報課と協力して対応したかをお話しました。これは長年培われてきた人的ネットワークと、過去の協同の経験があったから可能になった体制でした。

(ノーベル賞広報の様子)

CoSTEPは教育を基本とする組織であり、修了生には北大の職員もいます。そのネットワークが広報活動の原動力の一つとなりました。広報コンテンツだけではなく、人材を輩出するCoSTEPの教育機能には、別の重要な意味もあります。学習を基本理念としているため、活動にトライアル&エラーの領域がある程度確保されており、それにより新しい活動に、研究者と共に取り組む組織文化が醸成されているのです。

つまり、広報活動を通して組織内・協同者内で学習がおき、これが持続的かつ新しい広報・コミュニケーション活動につながるのです。

一方で、このような教育に軸足を置いた体制は、学習者主体に傾きやすく、より強いニーズに対応した広報・コミュニケーションは必ずしも最適とは限りません。そして、活動を通して学習を促進するという広報・コミュニケーション担当者の専門性が見えづらいという問題も残されています。

今回の参加者は35名でその中にはCoSTEP修了生もいらっしゃいました。今回の縁も生かし、今後も広報・コミュニケーションの「CoSTEPモデル」と「WPIモデル」を共有し、互いに向上していければと思います。