実践+発信

【デザイン】56サイエンスカフェ札幌のチラシ完成しました

2011.2.22

チラシのデザインを担当したのは,グラフィックデザイン実習を専攻する田中甫幸さん(北海道大学大学院工学院修士課程1年)。田中さんのレポートを紹介します。

粘菌と聞くとどのようなイメージを思い起こすでしょうか?

ナウシカとか,生物の教科書とかイメージできる方もいるかもしれませんが,大多数の方はよく知らない,というのが実際だと思います。

粘菌は植物と動物の間に位置する生物。近年では粘菌を使って迷路をとく研究が行なわれていて,環境によっては,あたかも知性を持っているかのように振る舞うことがあるそうです。それゆえに,知性の源流を探る研究でも用いられてます。

知性を振る舞うかのような性質を説明するためには自己組織化や非平衡というキーワードが不可欠です。しかし,その本質を理解することはとても難しいことなのです。

今回のポスターのデザインを始めた頃は,粘菌を忠実に再現しようとしたり,自己組織化にこだわったりしました。しかし,それを表現することは容易ではなく,さらに難解になっていくように感じました。

悩んだあげくたどり着いたのが粘菌を擬人化してみることです。粘菌くんというキャラクターにすることで,難しいキーワードから解放され,あまり知られていない粘菌を親しみのあるものに表現できるような気がしました。

そして,粘菌くんというキャラクターを思いついたものの,粘菌のイメージからはほど遠く,スライムのようなイメージしか作ることができません。スライムから粘菌へ。足をつけ,ネットワークのような編み目模様をつけ,あたかも餌を食べているかのように少しずつ改良していきました。そうやって,粘菌くんは完成しました。

 今回のこの黄色い粘菌の色には特色を用いました。黄色く目立つポスターを見て,少しでも粘菌や,粘菌を取り巻く複雑な自然現象に目を向けるきっかけになればうれしく思います。