実践+発信

選科A活動報告「世界からサメ消えたなら」

2022.9.8

選科A サメハダー’s
吉田彩乃・小川晋司・工藤三耶子・齊藤奈美歩・丸山遥香・山口由佳

1.はじめに

今回の集中演習のテーマは「リアル」。私たちの班は、サメの「リアル」を通じて身近な生物に目を向けるためのイベントを実施しました。

(作成:齊藤奈美歩)

2.企画内容

【目的】

サメのリアルを通じて、親しみのある・なしに関わらず、様々な生物に目を向けるきっかけとする。

【目標】

  • サメと人間の関わり合い方について知る
  • サメ類の危機的な現状を知る
  • 生物同士のつながりについて一緒に考える

参加者が自分事として考え、目標を達成するため、「サメが絶滅した2300年の水族館から2022年に戻ってきて、サメのリアルを調べてみる」という物語仕立ての内容を企画しました。

3.イベント内容

はじめに、Slidoを使用し、サメのイメージを参加者に共有してもらいました。Slidoとは、リアルタイムでアンケートを行い、可視化するツールで、回答が多い単語ほど大きな文字で表示されます。これにより、参加者と一緒に考えることを目指しました。

その後、主人公と一緒にサメの絶滅した2300年の水族館へワープ。

魚が減少した水族館では、鮫肌博士が待っていました。クイズを交えながら、2300年では絶滅したサメの生態を解説します。

最後に博士は、サメの絶滅に2022年の影響が大きいかもしれないこと、2022年に戻って絶滅を止めてほしいことを伝えます。
ここで再びワープ。現代に戻ってきた主人公たちは、一緒にサメのリアルを調べます。
そこで、乱獲や海洋プラスチック等によるサメの減少、サメの減少による他の魚や環境への影響、保護に対する政策や科学的枠組みについて知ります。

一方で、サメによる漁業被害やサメ漁業者を考えると、サメを保護するだけでなく、科学者と漁業者が歩み寄り、資源管理していく必要があります。
様々な視点からサメのリアルを知ったところで、サメがいなくなった世界で自分にどんな影響が出るか考え、Slidoで共有しました。

最後に、身近な生物についても考えてもらうため、「今まで興味を持たなかった生物にも、ちょっと目を向けてみてはどうでしょうか」という問いかけで、イベントを終了しました。

4.アンケート結果

イベントについてアンケートを実施し、33名の方に回答していただきました。
初めに、サメのイメージの変化について、5段階で回答していただきました。人食い鮫、怖いといったイメージを払拭してサメを身近に感じてほしいという思いがあり、結果からみて達成できたと考えます。

目的・目標の到達度を測るため、次の質問を行いました。おおむね、目標は達成できたと考えます。一方、記述回答には、「サメへの興味は沸いたが、野生生物まで至らなかった」という意見もありました。これは、班内でも最後まで悩んだ点でした。主人公設定などのストーリーの工夫で伝える、他の野生生物の写真やセリフを追加するなど、より工夫が必要だったと考えます。

自由記述には、鮫肌博士や主人公に対する好意的な感想を多くいただき、物語設定が適切に機能していたことが分かりました。
一方で、サメが本当に絶滅するのか、魚の減少とサメの関連性など、2300年の設定に関する回答も見受けられました。これには、科学的根拠があると説得力が増したのではないかと考えます。よい科学技術コミュニケーションには、物語づくりにも丁寧な科学的裏付けが必要だと学びました。

5.イベントを通じて学んだこと

①イベントの組み立て方

目的・目標・Take Home Messageを考える事が、イベントの骨組みを作るために重要だと学びました。参加者にどうなってもらいたいかを考えることや参加者に考えを促すことは想像以上に難しかったです。最初に定めた軸がぶれていないかをチームで確認しながら活動を進めることが大切だと学びました。
また、アンケート作りも工夫が必要で、目標を達成できたかを適切に確認するための項目設定、書いてもらうための工夫を学びました。

②オンラインならではの工夫

環境に対する認識に地域差が出ること、双方向コミュニケーションをとること、ツールの使い方などに、オンライン特有の難しさを感じました。参加者のことを想像すること、リハーサルでの失敗や様々な意見をもらうことが重要だと学びました。また、Slidoなどのオンラインならではのコンテンツを効果的に利用すれば、より参加者も楽しめる、新たな可能性を感じました。

最後に、参加者の皆さん、先生方や他班の皆さん、ありがとうございました!

本記事は、2022年7月18日(月)に実施した2022年 選科Aオンラインサイエンスイベント「リアル」の報告記事の1つです。CoSTEPの選科Aコースでは、全国各地の選科A受講生が札幌に集まり、オンラインサイエンスイベントをいちから作り上げる3日間の集中演習を行っています。20人の受講生が4グループに分かれ、計4つのイベントが行われました。報告書ができ次第、以下のリンクより、ご覧いただけます。他の活動報告もぜひご覧ください。

選科A活動報告「科学者の今(リアル)~どうしたら許してもらえますか~」
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